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健保ニュース 2021年11月下旬号

中医協が外来機能分化推進を議論
紹介状なし受診時負担 初診2千円、再診5百円
重点活用外来の評価は二分

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は12日、総会を開催し、令和4年度の次期診療報酬改定に向けて、外来機能分化の推進をテーマに議論した。

このなかで、紹介状なしで対象病院を受診する場合等の定額負担に対し、保険給付範囲からの控除額は医科の初診2000円、再診500円で両側の意見は一致した。

また、医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関の評価について、診療側が入院料の評価を主張する一方、支払側は反発した。

厚生労働省は、外来機能分化の推進の論点として、①紹介状なしで受診する場合等の定額負担②紹介・逆紹介の推進③医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関にかかる評価─をあげた。

このうち、①は、「全世代型社会保障改革の方針」等で「外来機能の分化の実効性が上がるよう、保険給付範囲から一定額を控除し、それと同額以上の定額負担を追加的に求めるよう仕組みを拡充する」とされていることから、具体的な控除額・追加負担額を論点として提案。

合わせて、▽緊急その他やむを得ない事情がある場合として、特別の料金の徴収を求めることが認められない患者▽正当な理由がある場合として、徴収を求めないことができる患者─と定めている除外要件の見直しも論点に位置づけた。

②は、医療保険部会の「議論の整理」で、「大病院からかかりつけ医機能を担う地域の医療機関への逆紹介を推進する」とされたことを踏まえ、専門性の高い医療機関等の外来における紹介率・逆紹介率のあり方を論点とした。

③は、入院機能に対する影響も見据えた「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」の評価のあり方を論点として提案。合わせて、同医療機関と地域における他の医療機関との連携にかかる評価のあり方も論点とした。

論点①の保険給付範囲からの控除額について、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「医科の初診は2000円、再診は500円とするのが適当と考える」と言及。

そのうえで、「控除額に伴い窓口負担が増加する患者への丁寧な説明が必要となる」との認識を示し、「医療現場のみに委ねるのではなく、国や保険者からも積極的に仕組みの周知を行っていただきたい」と強く要望した。

健保連の松本真人理事も、「医科の初診2000円、再診500円が妥当な線であると理解している」と述べたうえで、患者への周知については、厚労省に保険者と医療機関に共通のマテリアルを提供するよう求めた。

支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「保険者からも加入者に対してわかりやすい広報を実施する」との意向を示した。

他方、松本理事は、除外要件のうち、「その他、保険医療機関が当該保険医療機関を直接受診する必要性を特に認めた患者」が再診時で高い割合を占めていると指摘したうえで、予約受診の患者など、除外に該当しないような見直しを検討するよう求めた。

論点②については、松本理事が、「外来医療の機能分化が進むよう、紹介率・逆紹介率による初診料・外来診療料の減算をより厳格に運用すべき」との考えを示した。

論点③については、城守委員が、「入院料を評価する方向性に賛同する」と言及したうえで、その場合、「地域医療支援病院入院診療加算(入院初日1000点)」との整合性を検討する必要があると主張した。

これに対し、松本理事は、「今回の資料から入院料を評価する提案とは理解していない」と述べ、入院料による評価を牽制した。

地域の医療機関との連携にかかる評価については、「診療情報提供料(Ⅲ)」を活用する対応で両側の意見は一致した。

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