HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2021年11月中旬号

健保ニュース

健保ニュース 2021年11月中旬号

日本健康会議が5つの実行宣言
2025年度達成目標に 予防・健康づくりを推進
健康管理やICT活用を重視

経済界や保険者団体、医療関係団体など民間主導で健康づくりを推進する日本健康会議が10月29日に開催され、2021年から2025年の新たな5年間の活動目標となる「健康づくりに取り組む5つの実行宣言2025」を採択した。

「実行宣言2025」は日本健康会議における第2期の活動指針で、2025年度を達成目標にコミュニティの結びつきや1人ひとりの健康管理、デジタル技術等の活用に力点を置いた予防・健康づくりを推進していくこととした。

高齢者が急増する一方、若者が減っていく人口減少社会に直面している日本で、1人ひとりが健やかで生き生きと活躍、互いに支え合いながら生活できる社会の構築に向け、2015年7月に健康寿命延伸と医療費適正化の実現をめざす、日本健康会議が発足した。

8つの達成目標からなる第1期(2015~2020年)の「健康なまち・職場づくり宣言2020」の活動に引き続き、職域、地域の創意工夫を生かしながら「実行宣言2025」を達成し、誰もが活躍できる社会を実現していく。

この日採択された「実行宣言2025」は、①地域づくり・まちづくりを通じて、生活していくなかで健康でいられる環境整備に取り組む自治体を1500市町村以上とする②47都道府県すべてにおいて、保険者協議会を通じて、加入者および医療者と一緒に予防・健康づくりの活動に取り組む③保険者とともに健康経営に取り組む企業等を10万社以上とする④加入者や企業への予防・健康づくりや健康保険の大切さについて学ぶ場の提供および上手な医療のかかり方を広める活動に取り組む保険者を2000保険者以上とする⑤感染症の不安と共存する社会において、デジタル技術を活用した生涯を通じた新しい予防・健康づくりに取り組む保険者を2500保険者以上、医療機関・薬局を20万施設以上とする─の5つの宣言から成る。

このうち、③は、「大規模法人」は「健康経営優良法人の認定基準を満たし、コラボヘルスなど健康経営の発展に資する取り組みを積極的に実施すること」、「中小規模法人」は「健康経営優良法人の認定基準を満たすこと、または保険者や商工会議所、自治体等のサポートを得て健康宣言に取り組むこと」を達成要件とした。

また、④は、データヘルス等を通じて健康保険の大切さを加入者に伝える取り組みや、健康医療相談・セルフケアの推進等を通じて医療の適正利用を図る取り組みなどを実施し、その効果検証の結果を広報媒体で加入者に周知することを求める。

⑤は、「保険者」として、▽日常生活データや予防接種歴等を収集・活用した予防・健康づくり▽ICTやデジタル技術等を活用した事業▽特定保健指導でICTを活用した初回面接▽遠隔健康医療相談・オンライン診療の普及─の取り組みのうち2つ以上を実施。

また、その効果検証を行うとともに、マイナンバーカードを通じてレセプト情報等の診療時利活用を進めるため、▽加入者の個人番号を対前年度比20%以上または加入者全体の90%以上収集▽加入者の特定健診等情報のオンライン資格確認等システムへの格納について、閲覧用ファイルを提出する方法を活用─も求めた。

他方、「医療機関と薬局」は、オンライン資格確認にかかるシステム(顔認証付きカードリーダー端末等)の導入を達成要件とした。

日本健康会議の共同代表を務める日本商工会議所の三村明夫会頭は、会議冒頭のあいさつで、「コラボヘルスと健康経営の推進は従業員の健康保持増進につながり、企業の生産性向上や将来的な医療費の適正化に寄与するもの」との認識を示し、「車の両輪としていっそう取り組みを強化していく」と言及した。

来賓としてビデオメッセージであいさつした加藤勝信前内閣官房長官は、「日本健康会議の活動は、政府・与党や社会全体が進むべき方向を先導し、日本の予防健康づくりで重要な役割を果たしている」と評価したうえで、これまで推進してきた輪がさらに広く深く浸透していくことを期待した。

後藤茂之厚生労働相は、健康スコアリングレポートを通じた保険者と経営者のコラボレーションによる予防健康づくりや、マイナンバーカードの健康保険証利用を可能とするオンライン資格確認により、過去の薬剤情報や特定健診結果等を踏まえたより良い医療の提供などを進めていくとの意向を示した。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年