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健保ニュース 2021年11月上旬号

健保連・幸野理事が学会シンポで講演
2022年危機回避へ フォーミュラリを推進

日本フォーミュラリ学会の設立記念シンポジウムが10月23日に開催され、パネリストとして参加した健保連の幸野庄司理事は、「2022年危機」を回避するためフォーミュラリの推進を求めるとともに、各地域の医療関係者の取り組みによるフォーミュラリの普及にも期待感を示した。

フォーミュラリとは、有効性と安全性に加え、経済性などの観点をもとに作成された医薬品リスト。米国や英国で導入され、医療サービスの向上や医療財政に貢献している。日本でも一部の病院や地域で採用されているが、浸透するまでには至っていない。

講演のなかで幸野理事は、団塊の世代が後期高齢者に入り始める「2022年危機」により、健保組合財政の悪化と国民皆保険制度の崩壊が懸念されていると指摘。そのうえで、適正な保険料負担のもと、国民皆保険制度の持続可能性を高めるため、国策によるフォーミュラリの推進が急務であると主張した。

その理由として、①2年に1度の薬価改定により薬価を引き下げているにも関わらず、薬剤費は医科医療費の伸びを上回る勢いで増大している②生活習慣病治療薬については比較的薬価の高い先発品が占める割合が多く、経済性に優れた医薬品処方を促進する財政効果が大きい─ことをあげた。

幸野理事は、健保連が実施した令和元年度の政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究結果を例にあげ、降圧薬、脂質異常症治療薬、血糖降下薬の3種類の生活習慣病治療薬についてフォーミュラリを策定し、影響額を試算したところ、年間約3100億円の薬剤費が削減可能であると説明した。

さらに胃酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI経口薬)の元年度の使用状況について調べたところ、数量では後発品44.8%、新薬46.5%とほぼ拮抗しているのに対し、薬剤費では後発品19.7%、新薬71.2%と7割を新薬が占めていることを明らかにした。この阻害薬のうち、同程度の効果が期待される新薬と長期収載品について、経済性を考慮し最も薬価の安い銘柄を優先し処方すると、薬剤費を年間約1300億円削減できると見込んた。

この試算結果を受けて幸野理事は、後発品の使用促進に比べて、フォーミュラリの推進による財政的な効果がはるかに大きいと指摘し、診療報酬制度に生活習慣病治療薬のフォーミュラリ策定を組み入れるよう改めて提案した。

また、フォーミュラリを推進するにあたっては、各地域の医師や自治体などの医療関係者らが協議する「地域医療構想調整会議」を通じて、地域医療構想をベースにしたフォーミュラリの策定を目指すというアプローチもあるのではないかと述べ、中央社会保険医療協議会など中央からの議論だけでなく、地域におけるフォーミュラリへの取り組みも期待した。

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