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健保ニュース 2021年11月上旬号

医療保険部会が改定基本方針を議論
被用者保険関係団体 かかりつけ医の役割重視

社会保障審議会医療保険部会(部会長・田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)は10月22日、令和4年度診療報酬改定の基本方針策定に向けて3回目の議論を行い、健保連など被用者保険関係団体の代表委員から「かかりつけ医」の役割を重視する意見が相次いだ。

改定の基本方針は、「改定に当たっての基本認識」と、これを土台とする「改定の基本的視点と具体的方向性」に分けて大きく構成される。

厚労省は「基本的視点」について、前回9月22日の会合で5つの項目を示したが、コロナ禍で浮き彫りになった課題と医療機能の分化・強化、連携は重なり合う部分が多いとの委員の指摘を受け、この日の同部会で一部集約して4項目に整理した内容を提示した。

今回示された4項目の視点は、①新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築②安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進③患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上─。厚労省はこのうちの視点①と②を特に重視し、「重点課題」に位置づけた。

健保連の佐野雅宏副会長は、前回会合で述べた意見が反映された内容が今回示されたと評価したうえで、視点①の「具体的方向性の例」のなかで、かかりつけ医機能の評価が設定されたことに注目し、「今後は国民が身近で信頼できる、かかりつけ医の推進が非常に重要なので、かかりつけ医の評価については、患者目線から納得感を得られる評価を検討してほしい」と述べた。

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)も同調し、「コロナを契機として、かかりつけ医の重要性が国民のなかで再認識されたと思うが、かかりつけ医の定義について十分に整理されていない」と述べたうえで、「かかりつけ医機能の発揮による患者のメリットを明確化して、それに見合った評価を議論する必要がある」との考えを示した。

経団連代表委員の代理として出席した井上隆参考人は、「かかりつけ医を中心に地域医療全体を視野に入れて、適切な役割分担の下、必要な医療を面として提供するのは非常に重要だ。今回のコロナで地域の医療機関で連携してオンラインで対応する新しいモデルもある。今後の新しい医療モデルを推進するような評価を考えるべきだ」と提起した。

藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)は、「かかりつけ医機能を整理し、外来や在宅も含めた地域全体での医療機能の分化、役割分担を進めることが重要だ」とし、かかりつけ医について、「地域の包括的な医療の担い手として健康に関するアドバイスや予防医療を提供することが期待される。国民がかかりつけ医を通してヘルスリテラシーを高め、軽微な疾病にはセルフメディケーションを進めるべきで、これは医師の働き方改革につながる」との認識を示した。

また、佐野副会長は、視点④について、限りある医療資源を有効活用する観点から、「医療資源の重点配分」という方向性も盛り込んでほしいと要請した。

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