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健保ニュース 2021年10月下旬号

次期改定へ第2ラウンドの議論に着手
在宅医療 継続診療加算など論点
診療側は要件緩和を要望

中医協は13日、総会を開催し、令和4年度の次期診療報酬改定に向けて、第2ラウンドの議論に着手した。

2025年に向け需要が増大する見込みの在宅医療について、厚生労働省が論点として提起した「継続診療加算」の要件のあり方に支払側と診療側の意見は集中した。

高齢化の進展や地域医療構想による病床の機能分化・連携に伴い、2025年に向けて在宅医療の需要が大きく増加する見込みのなか、厚労省は8月25日の総論的な論点に対する委員からの意見も踏まえ、①継続診療加算②在宅療養支援診療所(在支診)・病院(在支病)③外来担当医と在宅担当医の連携④在宅ターミナルケア加算─を具体的な課題として掲げた。

平成30年度改定で新設された①は、在支診以外の診療所が、かかりつけ患者に他の医療機関との連携等で24時間の往診体制と連絡体制を構築した場合、1月に1回、在宅時医学総合管理料や施設入居時医学総合管理料に「216点」を上乗せして算定できる。

算定していない理由は、「24時間の連絡・往診体制構築に向けた協力医療機関が確保できない」が最も多い。

他方、各地域で今後も増大する在宅医療のニーズに対応するため、医療機関等が医療資源を踏まえ適切に役割分担することで提供体制の構築を進めている。

厚労省は、24時間の往診体制を確保していない場合でも市町村・医師会と連携したうえで在宅医療の提供体制が構築されていることを踏まえ、「継続診療加算」の要件のあり方を論点に位置づけた。

②は、緊急往診の年間実施件数が0件の在支病が存在したほか、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を踏まえ、看取りに対する指針を定めている機能強化型の在支診・在支病は約半数を占めている状況から、在支診や在支病が果たしている役割や機能等を踏まえた施設基準のあり方を論点とした。

③は、外来医療を受けていた患者が在宅医療を受けるに当たり、外来担当医と在宅担当医が共同で患者に必要な指導等を行うことにかかる評価のあり方を論点として提案した。

論点①については、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)が、医療機関間の連携や24時間体制のあり方に加え、継続診療加算を算定する医療機関と連携する在支診・在支病の評価も検討するよう要望。松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「算定要件の緩和が必要」との考えを示した。

一方、健保連の幸野庄司理事は、行政を巻き込んで地域ごとに在宅医療を担う医療機関がプロトコルを結ぶなど、在宅医療の提供体制を事前に構築していくことが必要と主張。機能強化型の在支診・在支病に対しては、地域の医療機関への支援も要件化するよう求めた。

論点②については、幸野理事が、「24時間体制が要件なのに緊急往診を年間1度も実施していないのは在支病の役割としていかがなものか」と問題提起し、緊急往診の実績を要件化するよう要望。

また、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を作成し家族と共有しておくことは必須条件との考えを示し、まずは機能強化型の在支診・在支病にACPの策定と家族との共有を要件化する必要があるとした。

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