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健保ニュース 2021年10月下旬号

中医協が外来医療テーマに議論
かかりつけ医機能など論点
支払側 報酬体系の再構築を

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は20日、総会を開催し、令和4年度の次期診療報酬改定に向けて、外来医療をテーマに議論した。

厚生労働省が提案した「かかりつけ医機能にかかる評価」の論点について、支払側委員が「既存の枠組みを前提としたパーツの見直しに終始している」と問題視し、患者目線で現行の報酬体系を再構築する必要性を提起した。

外来医療は2巡目の議論で、7月7日の中医協総会では、「かかりつけ医機能」について、▽予防や健康づくり、治療、専門医療機関への紹介、終末期医療への対応も含め、地域の医療・保健福祉の中心となっていく必要がある▽まずは何でも相談できることが重要であり、希望する患者すべてがかかりつけ医を持てるようにすべき─などが指摘された。

この日の会合では厚労省が外来医療の現状を踏まえ、①かかりつけ医機能②小児におけるかかりつけ医機能③医療機関間の連携④生活習慣病管理⑤耳鼻咽喉科診療─を具体的な課題として掲げた。

このうち、①は、平成26年度改定で新設した「地域包括診療料」、「地域包括診療加算」の対象疾患(高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち2つ以上)に「慢性腎臓病」、「心不全」を追加することや、インフルエンザ、肺炎球菌など予防接種の相談への診療報酬上の対応を論点として提案。

また、②は、医療機関の負担が大きい実態を踏まえ、28年度改定で新設した「小児かかりつけ診療料」の施設基準や算定要件のあり方を論点とした。

③は令和2年度改定で新設した「診療情報提供料Ⅲ」の評価のあり方、④は適切な管理を推進する観点からの「生活習慣病管理料」の評価のあり方、⑤は複数の処置を組み合わせて実施している耳鼻咽喉科診療の実態を踏まえた評価のあり方をそれぞれ論点として提案した。

支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「かかりつけ医機能は既存の枠組みを前提とした論点となっている」と指摘したうえで、「かかりつけ医のあり方を再度整理するとともに、かかりつけ医機能の発揮による患者側のメリットを明確化し、それに見合った評価を行っていくべき」との考えを改めて示した。

健保連の幸野庄司理事は、「中医協で議論すべきことは、かかりつけ医機能にかかる評価の要件緩和や対象拡大などパーツの見直しではなく、国民がかかりつけ医を持つために必要な診療報酬上の環境整備だ」と主張。

地域包括診療料、地域包括診療加算だけでなく、機能強化加算や外来管理加算、特定疾患療養管理料など、現行のかかりつけ医機能にかかる評価の問題点を整理し、診療報酬の新設も含め患者目線から再構築する必要があると強調した。

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