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健保ニュース 2021年10月上旬号

オンライン資格確認
本格運用を10月20日から開始
特定健診・薬剤情報の閲覧も

厚生労働省は9月22日に開かれた社会保障審議会医療保険部会(部会長・田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)で、オンライン資格確認の本格運用を10月20日から開始すると報告した。マイナンバーカードの保険証利用の際に必要な顔認証付きカードリーダーを院内に設置した医療機関では、マイナンバーカードを活用しての受診が可能となる。

オンライン資格確認に対応している医療機関・薬局は、患者が持参するマイナンバーカードか保険証で資格確認する。保険証の場合の資格確認の手順は、患者が医療機関等の窓口に提示した保険証を職員が預かり、保険証に記載されている記号番号をパソコンに入力する。

マイナンバーカードを活用した資格確認は、患者が院内に設置されているカードリーダーにカードをかざして、顔認証による照合か4桁の暗証番号を入力する。

こうした手続きにより、医療機関等が、資格履歴を一元的に管理する社会保険診療報酬支払基金・国保中央会にオンラインで資格照会し、患者がどの医療保険に加入しているのか即時に確認することとなる。

患者がカードリーダーにカードをかざしてから資格確認が完了するまでの間、患者が自身の特定健診や薬剤情報を当該医療機関等に提供するか否かの同意確認が表示され、いずれかを選択する。

患者から同意を得られれば、医療機関等がこれらの情報を診察や健康管理のために使用するものと期待されている。

なお、資格情報の登録の遅れにより、旧資格の保険証で受診した場合も、オンライン資格確認を活用し、タイムラグで生じる資格過誤について返戻せずに、審査支払機関で正しい資格情報にレセプトを振替・分割する仕組みが10月5日から稼働する。

厚労省はこの日の同部会の会合で、オンライン資格確認の本格運用が20日からスタートするのに合わせて、その準備が整った全国の医療機関等でマイナンバーカードを介して特定健診情報・薬剤情報を閲覧できるようになると報告した。

薬剤情報については、今年9月診療分の電子レセプト(医科・歯科・調剤・DPC)から抽出を開始し、以後、順次表示を更新して蓄積された情報を過去3年分閲覧できる。

また、患者、国民は自身の薬剤情報や特定健診情報をマイナポータルで10月から閲覧できるようになる。

特定健診情報については、令和2年度実施分以降、順次登録された過去5年分の情報を確認できる。特定健診データをマイナポータルで閲覧できるようにするためには、保険者が特定健診の結果情報をオンライン資格確認等システムに登録する必要があり、法定報告(健診実施年度の翌年11月1日までの報告)の機会を活用して登録するほか、月次で随時登録することもできる。

11月からはマイナポータルで医療費通知情報も閲覧できるようになる。3年9月診療分レセプトから抽出を開始する。

厚労省は、マイナンバーカードを患者が忘れたなど「イレギュラーなケースへの対応」も整理し、同部会に提示した。

マイナンバーカードを忘れて医療機関を受診した場合は、現行の保険証忘れの取り扱いと同様、一時的に10割分を患者が医療機関に支払い、後日、被保険者資格を医療機関が確認したうえで、自己負担分を除く額を患者に返す。

カードリーダーの故障などでマイナンバーカードの読み取りができない場合は、予備のカードリーダーを使うか患者の保険証で資格確認する。この対応ができない場合は、コールセンターに連絡し、資格確認(システム障害・大規模災害時)機能を起動して資格確認する。

転職などで保険者を異動した直後に医療機関を受診した場合は、異動先の保険者がデータ登録するまでの間、タイムラグが生じてマイナンバーカードで受診すると、資格確認が「無効」と表示される。その際は、医療機関が新保険者の保険証を持っていないか確認し、持っているなら保険証情報にもとづき自己負担分を請求する。持っていない場合は10割を請求し、後日、現物給付分を患者に返す。

また、新たな保険証で受診したが、「該当資格なし」との結果が表示される場合、医療機関等で提示された保険証情報にもとづき請求する。

オンライン資格確認の実効性を高めるためには、参加する医療機関等が増えることが必須だが、厚労省がこの日示したオンライン資格確認システムの導入準備状況では、顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関等が9月12日時点で、合計12万8794施設、全体の56.3%(病院77.2%、医科診療所43.9%、歯科診療所48.4%、薬局80.8%)を占める。このうちオンライン資格確認の準備が完了した医療機関等は、全体の5.6%相当の1万2894施設にとどまる。

マイナンバーカードの保険証利用の登録は、全国のカード交付枚数の10.9%の523万4954件。マイナンバーカードの交付枚数は、人口の37.9%相当の約4803万枚となっている。

この時点でオンライン資格確認に対応可能な医療機関等は約1.3万施設にとどまり、本格運用が始まる10月20日までには一定数増えることが予測されるが、一部の医療機関等の部分的なスタートとなる方向だ。

医療機関数の大幅増が必要
佐野副会長 今後1~2年の取組み重要
マイナンバーカード1本化へ

健保連の佐野雅宏副会長はこの日の医療保険部会で、オンライン資格確認に対応する医療機関等が少数にとどまっている現状を踏まえ、「マイナンバーカードを活用したオンライン資格確認を10月から本格実施しても、今後1~2年の取り組みによって、どちらに転ぶのか、という印象を持っている」と言及。今後の取り組みが成否を左右するとの観点から、マイナンバーカードの普及と合わせて、国民の利便性向上のため、▽利用できる医療機関の大幅増▽保険証については、既存の保険証とマイナンバーカードを併用する体制から、マイナンバーカード一本化に向けた体制整備─の必要性を強調した。

こうした方向性を視野に、これまでの取り組みでわかった課題を明確化して対応策を整理し、当面の目標・スケジュールの設定などPDCAサイクルの仕組みを作って、医療保険部会で進捗管理できるようにすべきと主張。こうした対応を整備しないと、「今後オンライン資格確認のシステムを使って計画されている第2弾、第3弾の施策が予定どおり実施できない、もしくは開始しても効果が出ないのではないか」と危惧した。

藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)は、「多くの医療機関がコロナ対応に全力を注いでいる現状は理解しているが、オンライン資格確認の普及促進のためにこれまでとは異なるアプローチ、例えば義務化等を含めた議論を今から始めるべきだ」と提起した。

石上千博委員(連合副事務局長)は、「マイナポータルを通じて自分の健診情報を確認でき、自らの意思で医療機関等に活用してもらうことに期待している」と述べたうえで、「マイナンバーカードの保険証利用はシステム的に途上にあり、利用できる医療機関に出会えるのかどうかという状況だ。国民に現状を知らせて、イレギュラー対応も含めて広報してほしい」と要請した。

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