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健保ニュース 2021年10月上旬号

入院分科会が中医協に中間まとめ
支払側と診療側の意見は二分
幸野理事 コロナ禍も必要な見直しを

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)の診療報酬基本問題小委員会は9月22日、入院医療等の調査・評価分科会から、令和4年度の次期診療報酬改定に向けた「中間とりまとめ」について報告を受けた。

新型コロナウイルス感染症禍でも必要な見直しを強く求める支払側とコロナ禍に合わせた見直しを求める診療側の意見は二分した。「中間とりまとめ」は、その後開催された総会で承認され、「最終とりまとめ」に向け同分科会で引き続き、分析・検討していく。

「中間とりまとめ」は、2年度改定後の入院医療における実態を調査・検証し、「一般病棟入院基本料」や「救急医療管理加算」など11項目の分析結果や技術的課題に関する検討結果を整理した内容となっている。

健保連の幸野庄司理事は、「ポストコロナ、ウィズコロナを見据え、ここで足踏みするのではなく、コロナ禍でもやるべきことはやるということが重要なスタート地点になる」との認識を示したうえで、具体的な検討項目に対する主張を展開した。

一般病棟入院基本料は、重症度、医療・看護必要度Ⅱの該当患者割合が2年度改定後に高い傾向にあったことについて、詳細な分析を行うよう要望。また、医療機関の手間を考慮し、必要度Ⅱへ早期に一本化するための検討も求めた。

地域包括ケア病棟入院料は、ポストアキュート、サブアキュート、在宅復帰の3機能を前提に入院料が設定されていることを踏まえると、入院料1~4のすべての区分で実績要件を設定することと合わせ、機能が偏った医療機関は点数設計を見直すよう提案した。

回復期リハビリテーション病棟入院料は、年々上昇している実績指数の実態に合わせた基準値の見直しが必要と指摘。また、アウトカム評価としての実績指数が報酬水準と合っていない入院区分もあると問題提起し、整理・統合を検討すべきとした。

療養病棟入院基本料は、「経過措置を届け出ている病棟は短期間にリハビリを多く実施し、減算されている入院料を埋めている実態がある」と主張し、機能に沿った病棟または介護分野への移行措置を速やかに検討するよう要請。

救急医療管理加算は、基準の定量化を重要な課題に位置づけ、「その他重症な状態」が算定患者の6割超を占める「加算2」のあり方について議論する必要があるとした。

一方、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「2年度改定の検証は、経過措置の延長等により限界がある」と指摘したうえで、「コロナ禍に合わせた見直しが次期改定の重要なミッションになる」と主張。医療現場に大きな影響を与えないという視点から検討を進めていくべきとの考えを示した。

そのうえで、急性期を含む入院医療体制に対し、「コロナ禍で、いざ救急医療が必要となった場合に、病床数や医療機器を増やしても支えきれる人材がおらず、素早く対応できなかったことが明白になった」と問題提起。

この教訓を踏まえれば、当面は平成30年度改定で再編した評価体系の影響を見守っていく段階との認識を示し、次期改定で拙速な病床削減を行うことは避けるべきと強調した。

他方、救急医療管理加算については、「今後、症例の蓄積が必要なことを考えると、次期改定で見直す必要はない」との見解を示した。

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