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健保ニュース 2021年10月上旬号

健保連が4年度診療報酬改定へ提言
かかりつけ医機能の評価 コロナ教訓に再構築
患者の視点で報酬体系を整理

健保連は9月21日、令和4年度の次期診療報酬改定に向けた政策提言をまとめ、公表した。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として医療を取り巻く環境が大きく変化し、医療のあり方を見直すことが問われているなか、コロナ禍の教訓を生かした医療に焦点をあてた。コロナ禍における受療行動の変容を検証したうえで、▽安心で効率的な治療の継続を実現▽かかりつけ医機能の評価を再構築─するための政策を提言した。かかりつけ医がオンライン診療やリフィル処方を活用し、通院負担を軽減しながら慢性疾患等を管理するほか、多くの国民がかかりつけ医を持つための環境整備として、患者の視点から診療報酬体系を整理する必要性を強く訴えた。

健保連は、108健保組合の協力を得て、平成30年10月から令和2年9月までの2年分、3億427万件のレセプト分析にもとづき、「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究Ⅴ」をまとめた。

新型コロナウイルス感染症の教訓を生かした医療を焦点に、①コロナ禍における受療行動の変容を検証─を出発点に、②安心で効率的な治療の継続を実現③かかりつけ医機能の評価を再構築─の3テーマを選定した。

①は、コロナ第1波の前、最初の緊急事態宣言期、宣言解除後における患者数等の推移を分析し、▽A(宣言期間中に大きく減少したまま、その後の戻りが小さい)▽B(宣言期間中に大きく減少し、その後にある程度まで回復)▽C(宣言期間中にも大きく変化しない)─の3パターンに類型化。

呼吸器系を中心とする急性疾患などパターンAは「予防・抑制が可能」、膝関節症などパターンBは「受診の見合わせ・遅れ」、生活習慣病などパターンCは「継続的な治療が必要」と整理し、いずれも「かかりつけ医」が鍵になるとした。

パターンAを踏まえれば、新型コロナの拡大以降、国民の努力によって感染症が抑制され、結果として医療費の節減につながったことは個々人の行動変容がいかに重要であるかの証左であると強調。

国民の健康を守り、限りある医療資源を守るため、▽防げる疾病は自らの努力によって防止▽体調管理にセルフメディケーションを実践▽医療機関を受診する場合、かかりつけ医を通じ自らの状態に対応した治療を選択─などにつながる取り組みを推進する必要があるとした。

安心で効率的な治療継続へ
オンラインやリフィル活用

②は、パターンCの継続的な治療が必要な生活習慣病患者などに対し、かかりつけ医がオンライン診療やリフィル処方を活用して通院負担を軽減しながら慢性疾患等の管理をめざす。

オンライン診療は、▽対面以外による医学管理料の算定割合は1.5%に上昇したが活用は不十分▽一定期間にわたり外来を継続受診し、2年4月のコロナ特例後に対面診療を継続した患者とオンライン等で診療した患者の入院発生率は、対面2.1%、オンライン等1.8%で概ね同じ─と医学管理の可能性を考察。

平時および感染症の拡大期間等のいずれにおいても、オンライン診療を実施できる「かかりつけ医」を増やすべきと提言したほか、オンライン診療を実施する医療機関から診療データを収集する仕組みも必要とした。

他方、リフィル処方は、▽長期Do処方(180日間以上同じ処方内容)の患者数割合は各年齢階級とも増加傾向で40歳以上は1割超▽全年齢を通じて長期Do処方患者のうち月1回以上受診の割合は、処方元が診療所の場合37.5%、病院の場合7.2%─で、長期間処方内容が変わらず毎月受診している患者はリフィル処方に移行しやすい可能性があると考察。

慢性疾患等の長期にわたる薬物治療が必要で、病状が安定した患者を対象にリフィル処方を早期に導入し、かかりつけ医とかかりつけ薬剤師の連携の下で実施すべきと提言した。

慢性疾患患者は同意を必須
包括報酬等の新たな評価も

③は、かかりつけ医を起点とした安全・安心で効率的な外来医療の環境整備を診療報酬で促進することを狙いとする。

外来患者のうち、地域包括診療加算や認知症地域包括診療加算、小児かかりつけ診療料などの「かかりつけ医関連の診療報酬」を算定した患者は0.8%と少ない一方、かかりつけ医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価する「特定疾患療養管理料」を算定した患者は20.4%と高いが、地域包括診療加算等と異なり、「患者の同意」が算定要件となっていない。外来患者のうち、地域包括診療加算や認知症地域包括診療加算、小児かかりつけ診療料などの「かかりつけ医関連の診療報酬」を算定した患者は0.8%と少ない一方、かかりつけ医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価する「特定疾患療養管理料」を算定した患者は20.4%と高いが、地域包括診療加算等と異なり、「患者の同意」が算定要件となっていない。

他方、「かかりつけ医関連の診療報酬」と「特定疾患療養管理料」の算定患者の多くが、「計画的な管理」を要件とする「外来管理加算」を併算定していた。

そのうえで、▽対象疾患や年齢が限定▽患者と医師のかかりつけ関係が不明確▽それぞれ何を評価しているか分かりにくい─と問題点を指摘し、患者の視点で診療報酬体系を整理することで多くの国民が「かかりつけ医」を持ちやすくなるのではないかと考察。

かかりつけ医機能の評価について、慢性疾患患者は既存の診療報酬に「患者の同意」を必須としたうえで、評価の重複等を整理し、かかりつけ医による計画的な医学管理を徹底する。

合わせて、慢性疾患以外の幅広い患者も想定し、▽1人の患者を原則1人の医師または1か所の医療機関が担当▽幅広い疾患に対応し、必要に応じて専門医・専門医療機関を紹介および予約▽計画的な医学管理や基本的な診療行為等を含む包括報酬─の視点から、かかりつけ医の評価を新設するよう提言。

他方では、患者がかかりつけ医を選ぶためには情報提供が重要とし、アウトカム等の「見える化」を推進するべきとした。

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