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健保ニュース 2021年9月下旬号

令和元年度社会保障費用統計
社会保障給付費 過去最高の123.9兆円
医療は2.5%増の40.7兆円

国立社会保障・人口問題研究所(田辺国昭所長)は8月31日、令和元年度の「社会保障費用統計」の概況を公表した。医療、年金、介護などの公的制度から個人へ支給した現金・現物の年間総額に相当する「社会保障給付費」は前年度比2.1%増の123兆9241億円、これに施設整備費など個人が直接受け取らない費用を加えた「社会支出」は同1.9%増の127兆8996億円で、いずれも過去最高を更新した。

「社会保障費用統計」は、日本の社会保障全体の規模や政策ごとの構成を明らかにすることを目的に、医療保険や年金、介護保険などに関する1年間の支出について、ОECD(経済協力開発機構)基準による「社会支出」と、ILО(国際労働機関)基準による「社会保障給付費」を集計している。

元年度の国民1人当たりの平均額は、社会支出が101万3700円(前年度比2.1%増)、社会保障給付費が98万2200円(同2.3%増)へとそれぞれ上昇した。

国内総生産(GDP)の前年度からの伸びが0.5%だったことから、対GDP比は社会支出が同0.31ポイント増の22.85%、社会保障給付費が同0.34ポイント増の22.14%と、ともに増大した。

平成29年度時点の社会支出の対GDP比を主要先進国で比較すると、日本の22.36%は英国(21.36%)より大きいが、フランス(32.21%)、ドイツ(27.64%)、スウェーデン(26.44%)、米国(24.78%)よりも小さい。

日本の政策分野別の社会支出は、医療保険や公費負担医療給付、介護保険などを対象とする「保健」が最大の53兆527億円(前年度比2.6%増)で全体の41.5%、次いで、年金や買い物、洗濯等の支援サービスなどの「高齢」が48兆4114億円(同0.3%増)で全体の37.9%を占め、保健と高齢で100兆円を超え、全体の8割を占めた。

前年度からの伸び率では、令和元年10月からスタートした幼児教育・保育の無償化など子育て支援の拡充を含む「家族」6.8%、同じく10月からの年金生活者支援給付制度の導入などにより「他の政策分野」6.8%が目立って高かった。

部門別の社会保障給付費は、「年金」が55兆4520億円(同0.4%増)で全体の44.7%、「医療」が40兆7226億円(同2.5%増)で32.9%、「福祉その他」が27兆7494億円(同5.1%増)で22.4%を占める。

社会保障財源は、社会保険料が74兆82億円(同2.0%増)で全体の55.9%、公費負担が51兆9137億円(同3.0%増)で39.2%、他の収入が6兆4526億円(同32.9%減)で4.9%を占める。

社会保険料のうち被保険者拠出分が38兆9665億円(同1.6%増)、事業主拠出分が35兆417億円(同2.3%増)だった。他の収入の大きな落ち込みは、年金積立金の運用実績が減少したことに伴い、資産収入が同64.0%減少したことが影響した。

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