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健保ニュース 2021年9月中旬号

厚労省が2年度概算医療費を公表
前年度比1.4兆円減の42.2兆円
新型コロナ 受診控え等で過去最大の減少

厚生労働省は8月31日、「令和2年度医療費の動向」を公表した。医療保険と公費負担医療分の2年度概算医療費は前年度比3.2%減の42.2兆円で、元年度から1.4兆円減少した。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う患者の受診控え等を要因に、過去最大の減少額となった。休日数等の違いによる影響を補正すると同3.9%減へ下振れする。単価に相当する1日当たり医療費は同5.8%増加する反面、患者数に相当する受診延日数が同8.5%減と大幅に減少。医療費は診療報酬改定の影響を除くと毎年2%程度伸びる傾向にあるが、4年振りに低下し、1人当たり医療費は前年度から1万円減少した。一方、2年度3月の医療費は前年同月比で増加に転じており、今後の動向が注視される。

医療保険と公費負担医療分の医療費を集計した概算医療費は、労働災害や全額自費の診療を含まない速報値で、国民医療費の約98%に相当する。

医療費の動向をみると、平成27年度41.5兆円(前年度比3.8%増)、28年度41.3兆円(同0.4%減)、29年度42.2兆円(同2.3%増)、30年度42.6兆円(同0.8%増)、令和元年度43.6兆円(同2.4%増)と推移してきた。

平成27年度は高額なC型肝炎治療薬が相次いで保険収載されたことから医療費の伸び率は前年度比4%近くなったが、診療報酬改定、薬価改定の影響を除くと、高齢化や医療の高度化により毎年2%程度伸びる傾向となっていた。

ただ、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う受診控えや手術の延期、新たな生活様式の浸透などにより、医療費は同1.4兆円減と過去最大の減少額となった。

これまでは、介護保険制度が発足した平成12年度の同0.6兆円減が最大の減少額だったが、令和2年度はその減少額を2.3倍超上回った。

新たな生活様式の浸透について厚労省は、基本的な感染対策としてのマスク着用の徹底や手洗いの励行、社会的距離の確保により、インフルエンザをはじめとする呼吸器系疾患を中心に大きく医療費が減少したと説明。呼吸器系疾患は同25.3%減少した。

医療機関を受診した延患者数に相当する「受診延日数」は、人口減少に伴い平成28年度以降、マイナス1%弱の伸びで推移してきたが、令和2年度は新型コロナの感染拡大の影響により同8.5%減と大幅に低下した。

一方、医療費の単価に相当する「1日当たり医療費」は、平成27年度以降、同2~3%程度の伸びで推移してきたが、令和2年度は重度な患者の比重が大きくなったことで同5.8%上昇。医療費全体の伸び率は同3.2%減となった。

厚労省は、2年度概算医療費の▽人口増の影響(同0.3%減)▽高齢化の影響(同1.1%増)▽診療報酬改定等(同0.46%減)─を除いた伸び率は同3.6%減、休日数等補正後の伸び率は同3.9%減になるとした。

2年度の1人当たり医療費は同2.9%減の33.5万円で、同1万円減少した。
 他方、2年度3月の前年同月と比較した医療費は、元年度3月の減少の反動から増加に転じており、3年度4月以降の医療費の動向が注視される。

このほか、厚労省は、主傷病がCOVID─19であるレセプトを対象に医療費を集計すると、2年度で1200億円程度だったことを明らかにした。

被用者保険の医療費伸び率
前年度比3.6%減に反転

75歳未満の医療保険適用分は、前年度比3.7%減の23.5兆円で、このうち被用者保険が同3.6%減の13.0兆円(全体の30.9%)、国民健康保険が同3.8%減の10.5兆円(同24.8%)で、被用者保険は元年度の同3.1%増から減少に反転した。

75歳以上の医療保険適用分は、同2.4%減の16.6兆円(同39.4%)。公費負担医療は、同4.7%減の2.1兆円(同4.9%)となった。

被用者保険は、1人当たり医療費が16.7万円で、同3.6%減少するとともに、加入者数が同0.0%減(本人同0.6%増、家族同1.5%減)の7787万人となった。加入者数の増減も影響し、医療費の伸び率は本人の同0.8%減に対して、家族は同9.0%減と大きく減少した。

国保は1人当たり医療費が被用者保険の2倍を上回る35.8万円で、同1.7%減少。被用者保険への移行と高齢化により加入者数は同2.1%減の2922万人となり、医療費の伸び率も減少傾向が続いた。

被用者保険と国保を合わせた未就学者は、1人当たり医療費が同17.0%減の18.1万円、加入者数は同2.5%減の623万人となり、医療費の伸び率は同19.1%減と例年の減少幅に比べ大きく低下した。これについて厚労省は、「未就学者は、医療費の減少に影響した呼吸器系疾患の割合が高いため」と分析した。

75歳以上の医療保険適用分は、加入者数が同0.9%増の1807万人に増加する一方、1人当たり医療費は同3.3%減の92.0万円に減少。医療費の伸び率が同3.9%増に増加した前年度から減少に転じた。

医療費全体の構成割合は
医74%、歯7%、調18%

診療種類別にみると、医科は前年度比3.8%減の31.3兆円で、入院が17.0兆円(前年度比3.4%減)、入院外が14.2兆円(同4.4%減)となった。歯科は同0.8%減の3.0兆円、調剤は同2.7%減の7.5兆円、訪問看護療養は同19.8%増の0.36兆円だった。訪問看護療養のみ増加し、例年と同様、20%近い伸びを示した。

医療費の構成割合は、医科74.1%(入院40.4%、入院外33.7%)、歯科7.1%、調剤17.9%、訪問看護療養0.9%で、医科入院が最も多くを占めた。

医科入院は受診延日数が同5.8%減の4.4億日、1日当たり医療費が同2.6%増の38.9千円。医科入院外は受診延日数が同10.1%減の14.5億日、1日当たり医療費が同6.4%増の9.8千円で、医科入院外は医科入院に比べ受診延日数は大きく減少する一方、1日当たり医療費は元年度の同3.5%増に比べ高い伸び率となった。

病院の1施設当たり医療費は同2.7%減の27億8873万円で、大学が同3.1%減の190億6907万円、公的が同4.7%減の54億7328万円、法人が同1.6%減の18億922万円、個人が同2.7%減の7億203万円。いずれも前年度の増加から減少に反転した。

診療所の1施設当たり医療費は同5.3%減の9663万円で、産婦人科(同2.1%増)でプラスの伸びとなる一方、小児科(同21.1%減)や耳鼻咽喉科(同19.2%減)は20%程度の減少幅となった。

歯科は、受診延日数が同6.9%減の3.9億日、1日当たり医療費が同6.6%増の7.7千円。1施設当たり医療費は、歯科病院が同6.0%減の9173万円、歯科診療所が同0.2%増の4272万円だった。

調剤費の75%が薬剤料
後発品数量割合は82%

調剤医療費の構成割合は、技術料が前年度比5.0%減の1兆8779億円(全体の25.0%)、薬剤料が同1.8%減の5兆6058億円(同74.8%)、特定保険医療材料料が同7.2%増の150億円(同0.2%)で、薬剤料が7割超を占めた。

薬剤料の内訳をみると、全体の8割超を占める内服薬が同2.5%減の4兆4878億円に低下。注射薬は、全体の7%程度にとどまるが、同11.6%増と大きな伸び率を示した。後発医薬品の薬剤料は、同3.4%増の1兆1337億円となった。

処方箋1枚当たり調剤医療費は、年齢とともに高くなり、最も高い80歳以上85歳未満(1万1448円)は0歳以上5歳未満(3623円)の約3.2倍となる。

内服薬の処方箋1枚当たり薬剤料は同7.4%増の5886円で、これを分解すると、▽処方箋1枚当たり薬剤種類数が同1.0%減の2.76剤▽1種類当たり投薬日数が同12.7%増の28.2日▽1種類1日当たり薬剤料が同3.7%減の76円─となる。薬剤種類数の減少傾向と投薬日数の増加傾向が続いている。

内服薬を薬効分類別にみると、循環器官用薬の7787億円、その他の代謝性医薬品の7711億円、中枢神経系用薬の7501億円、腫瘍用薬の4677億円が高く、腫瘍用薬は伸び率が同9.8%増と二桁近く上昇した。

後発品の数量割合は、令和2年度末時点で同1.7ポイント増の82.1%だった。後発品数量割合が80%以上の薬局の割合は73.0%で、前年度に比べ6.1ポイント上昇した。都道府県別にみると、沖縄が89.5%で最も高く、徳島が78.4%で最も低かった。

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