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健保ニュース 2021年8月下旬号

中医協が歯科医療の議論を開始
かかりつけ歯科医機能など論点
幸野理事 「か強診」の施設基準見直しを

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は4日、総会を開催し、令和4年度の次期診療報酬改定に向けて、「歯科医療」の議論を開始した。

厚生労働省は、▽歯科診療所は約6万8500施設で近年横ばい▽人口10万対歯科医師数は増加傾向▽歯科診療所の推計患者数は平成23年頃からは横ばい傾向▽う蝕の推計患者数は減少する一方、65歳以上のう蝕は増加▽成人を中心に歯周病の割合は増加し、成人の約7割が罹患─など、歯科医療を取り巻く状況を示した。

また、30年度の歯科医療費は約2.96兆円と近年増加傾向にあり、国民医療費に占める割合は約6.8%の状況と説明。16年から10年間の歯科医療費の推移を年齢階級別にみると、0~14歳の若年層と65歳以上の高齢者で伸びているとした。

他方、歯科医療にかかる診療報酬上の評価については、28年度改定で新設した「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(か強診)の評価などを説明。令和元年7月1日時点で1万831施設が届け出を行っていた。

平成30年度と令和2年度の診療報酬改定では、院内感染防止対策を推進する観点から、歯科初診料・再診料を引き上げる見直しを行い、元年7月1日現在、6万5200施設(全体の約95%)が施設基準を届け出ていた。

さらに、3年4月から9月までの間、新型コロナウイルス感染症を踏まえた診療にかかる特例的な対応として、必要な感染予防策を講じた医療機関は、初・再診時に1回5点を基本診療料に上乗せする特例的な加算の算定を認めている。

こういった現状を踏まえ、厚労省は、▽地域包括ケアシステムを推進する観点から、かかりつけ歯科医に求められる機能や医科歯科連携等の多職種連携を推進▽歯科外来診療における感染防止策▽口腔疾患の重症化予防や口腔機能の管理を推進▽歯科固有の技術の評価について、引き続き生活の質に配慮した歯科医療の提供等を推進─への対応を論点として提起した。

健保連の幸野庄司理事は、「地域包括ケアシステムの推進にあたって、診療報酬で差別化されている、か強診が中心的な役割を果たすべき」と述べる一方、「国民への見える化はされていないのが現状」と問題視。

そのうえで、「か強診」に差別化したプレミアム価格の点数設計を継続する場合は、「医科歯科連携や地域連携、在宅歯科医療など地域包括ケアシステムで中心となる役割を果たすような施設基準へと見直す必要がある」との考えを示した。

支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、院内感染対策は医療機関が行う本来の責務であり、基本診療料の上乗せではなく、研修や教育の充実で対応すべきものと主張。

新型コロナの特例的な対応については、「十分な根拠や議論がないままに決定されてきた」と指摘し、しっかりとした効果検証が必要と強調した。

診療側の林正純委員(日本歯科医師会常務理事)は、「全世代における健診、治療、継続管理が一体となった仕組みづくりが重要」との考えを示し、かかりつけ歯科医による口腔健康管理の取り組みの推進に向けた対応を要望。

新型コロナ感染症対策では、予約間隔の調整をはじめ歯科用ユニットの消毒やラッピングなど徹底を図っているとし、現在の特例対応の継続を求めた。

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