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健保ニュース 2021年8月合併号

4年度診療報酬改定の基本方針
社会保障審議会が検討着手
佐野副会長 機能分化・強化、連携を重視

社会保障審議会医療保険部会(部会長・田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)は7月29日、令和4年度診療報酬改定の基本方針策定に向けた議論に着手した。

健保連の佐野雅宏副会長は、コロナ禍で判明した日本の医療提供体制の課題として、「医療資源の散在」が問われていると指摘。そのうえで、感染症に対応できる医療体制を構築する視点からも「入院医療の機能分化・強化、連携がこれまで以上に重要な課題となる」と述べた。

外来関係では、コロナの検査・診療、ワクチン接種を通じて「かかりつけ医」への国民の期待が高まっているとの認識を示し、国民・患者が必要なときに必要な医療にアクセスできるための「外来医療の機能分化・強化、連携、特にかかりつけ医の強化も極めて重要な視点である」と強調した。

こうした観点から、前回2年度改定の基本方針を構成する4つの「基本的視点」のうち、「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」の重要度が増していると指摘した。

また、団塊の世代が後期高齢者に入り始め、現役世代の負担が急増する局面と重なる4年度改定では、制度の安定性、持続可能性の確保に向けて「効率化・適正化の取り組み」を重視した。

新型コロナ対応では、「まずは補助金と診療報酬の役割の整理と、これまでの特例的な取り扱いの検証が前提条件となる」と述べた。

松原謙二委員(日本医師会副会長)は、コロナ禍での病床確保の必要性に触れ、「日本で病床が十分にあるのかどうかという議論となるが、余裕があったのが良かった点だ。病床があっても財政的に負担をかけることだけで考えたら大変なことになっていた。余裕がなければいけない」と述べた。

診療報酬改定の基本方針を巡る社会保障審議会での議論については、これまで9月からスタートしていたが、前回改定時の議論で開始時期を早めるべきとの指摘を受けて、今回は7月から開始した。この日は2年度改定の振り返りから始めた。近く医療部会でも議論に着手する。12月に両部会の意見を集約し、年末に内閣が決定する改定率にもとづき中央社会保険医療協議会で具体的な点数設定に反映させる。

前回改定の基本方針の概要は、改定に当たっての基本認識として、▽健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現▽患者・国民に身近な医療の実現▽どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進▽社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和─の4点を指摘。

こうした認識の下、改定の基本的視点は、①医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進(重点課題)②患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現③医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上─の4項目を掲げた。

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