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健保ニュース 2021年7月上旬号

財務省が3年度予算執行調査を公表
後発品調剤加算 廃止を含めた見直しを指摘
対象拡大など減算中心に

財務省は6月29日、各府省の予算が効率的に執行されているのかを調べた令和3年度予算執行調査の結果をまとめ、公表した。調査結果は、4年度予算の概算要求や今後の予算執行に確実に反映するよう、各府省に要請する。

厚生労働省に対しては、現行の後発医薬品調剤体制加算について、廃止を含めた見直し行うよう求めた。

今回は、39件の調査事案のうち24件の結果を公表した。必要性や有効性、効率性の観点から調査を実施し、今後の改善点、検討の方向性を指摘している。

このうち、厚労省の調査事案に選定された「診療報酬(後発品関係)」は、後発品の新目標との関係を踏まえた後発品調剤体制加算のあり方について検討を行った。

それによると、73.9%の薬局が同加算を取得する一方、減算制度の適用は0.3%(181件)にとどまっていることが明らかになった。

同加算は、薬局における後発品の置換率(75%以上、80%以上、85%以上)に応じ、「加算1(15点)」、「加算2(22点)」、「加算3(28点)」を調剤基本料に上乗せする一方、後発品の調剤数量割合が40%以下の薬局に対しては、調剤基本料から「2点」を減算する。

財務省は、一定の試算から、政府目標の「5年度末までに全都道府県で80%以上」に到達した場合の医療費適正化効果額の増加分を200億円程度と見込んだうえで、現行制度では年間1200億円程度の加算に対し、減算は400万円程度となっている状況を示した。

一方で、同加算の中で、使用割合の最も高い「加算3」を取得している薬局の備蓄医薬品目数が最も少なかった調査結果から、「後発品の使用割合と備蓄品目数が正の相関関係にない」と指摘した。

調査結果を踏まえ、財務省は、同加算の意義は後発品の使用による「かかり増し」の費用への対応の側面ではなく、インセンティブとしての側面が強くなっていると問題提起。

同加算を取得している薬局の割合は全国平均で73.9%、都道府県によっては9割を超えていることから、既に現行の加算制度ではこれ以上使用割合を高める機能を期待することができない状態にあるとした。

そのうえで、医療費適正化効果額との費用対効果が見合っておらず、「加算制度は廃止を含めた見直しを行うべき」と強調し、対象範囲の大幅な拡大など減算を中心とした制度に見直すべきとの方向性を明示した。

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