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健保ニュース 2021年7月上旬号

オンライン資格確認の本格運用へ
厚労省 7月から「集中導入期間」

厚生労働省は6月25日の医療保険部会で、オンライン資格確認等システムの今年10月までの本格運用の開始に向けて、7月から「集中導入期間」として参加施設数を大幅に拡大していく方針を示した。データの正確性が担保されるなどシステムの安定性が確立したことを踏まえ、当面、顔認証付きカードリーダーを申し込んでいる約13万施設(医療機関・薬局)の導入を加速化する考え。それぞれ導入準備の段階に応じて厚労省として、1つひとつの医療機関にきめ細やかな支援を7月から開始する。

マイナンバーカードの健康保険証利用の際に必要な顔認証付きカードリーダーの申し込み数は、約13万施設(6月20日時点)と全体の57.1%。5月末時点で7.1万台のカードリーダーを配布している。

マイナンバーカードの健康保険証利用の登録状況は、全国のカード交付枚数の10.4%相当の440.3万枚となっている。

3月上旬から実施している医療機関・薬局の「プレ運用」には、6月21日時点で732施設(85病院、225医科診療所、211歯科診療所、211薬局)が参加している。参加施設から導入メリットとして、初診患者の資格入力の手間が大幅に減ったなどの声がある一方、運用上の課題として、マイナンバーカードを持参する患者が少ないことや、職員が操作を覚えられないことなどが指摘されている。

保険者の対応状況は、個人番号誤入力チェック機能を強化して、▽保険者内での取り違えなど登録した個人番号の誤りが0件(2年12月時点では約3.5万件)▽データ様式違いなどによる不正確な被保険者番号が0件(3年3月時点約0.3万件)▽保険証発行前に資格を失った場合など被保険者証の情報が登録されていない事例が約2.7万件(同約6.3万件)─と大きく改善された。

誤入力チェックの機能強化では、3月末から保険者が新規加入者情報を登録する際、既に中間サーバーに登録されているデータと「個人番号+生年月日」で突合し、同一個人番号で生年月日が異なる者を「個人番号誤登録疑い」として検出し、保険者へ通知する機能を追加している。

さらに、6月末からは、新生児など中間サーバーに登録されている個人番号がない新規加入者情報を検知し、自動的に住民基本台帳ネットワークへ照会し、突合結果を保険者へ通知する機能を追加。こうしたことから、厚労省は「制度を運用していくデータの正確性は担保されており、引き続き実際の運用を通じてデータの精度を高めていく」として、今後、医療機関の参画を多くするための取り組みを進めていく考えを示した。

オンライン資格確認等システムを活用する主要施策のスケジュールは、患者本人の同意を前提に7月から医療機関等で特定健診情報の閲覧が可能となる。10月からはマイナポータル上での自分自身の特定健診情報や薬剤情報を閲覧できるようにする。

オンライン資格確認等システムの本格運用の開始時期は、当初今年3月下旬を予定していたが、医療機関等の導入準備が低調であることや、データ登録の不備などあって、10月までに延期された。

運営負担金
健保組合に強い不満

健保連の佐野雅宏副会長は、現在の参加医療機関数がまだ少ないと指摘し、こうした状況で10月から本格運用を開始できるのか懸念した。

また、オンライン資格確認に伴う運営負担金について、「若干の減額とはなったが、当初予定額の8割程度の費用を今年4月からわれわれ保険者が負担することとなっており、健保組合では強い不満がある」と指摘。

そのうえで、費用負担を求めるのであれば、負担に見合うメリットがあることが大前提であるとし、「従来は、システムの完成・運用開始をもって保険者負担となっていたが、今後のICT施策では、運用開始から全体的な体制整備が進むまでの立ち上げ時期については、通常の運用期間とは異なる対応が必要であり、国の費用負担を検討してほしい」と要請した。

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