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健保ニュース 2021年6月上旬号

規制改革推進会議が菅首相に答申
オンライン診療恒久化 今夏に骨格取りまとめ
医療分野のデジタル化を促進

政府の規制改革推進会議(小林喜光議長)は1日、規制改革推進に関する答申をまとめ、菅義偉首相に提出した。

答申は、「デジタル社会に向けた規制改革の実現」を副題とし、医療分野では、「オンライン診療・オンライン服薬指導の普及」や「DX化の促進」などを提言した。政府が今月を目途に閣議決定する「規制改革実施計画」に反映する。

オンライン診療・服薬指導については、昨年来、新型コロナウイルス感染症が拡大している状況のなか、感染拡大を防止するため、初診からの対応も可能とする時限的措置を実施している現状を報告。

また、様々な理由で受診や服薬指導が困難な患者の受診機会を確保するとともに、医療サービスの効果的・効率的な提供に資する点で極めて有効な手段となっていると評価した。

こうした基本的考え方にもとづき、答申は、オンライン診療・服薬指導の積極的な活用を推進する観点から、新型コロナが収束するまでの間、現在の時限的措置を継続するよう求めた。

さらに、感染収束後は、デジタル時代に合致した制度となるよう、初診の取り扱いや対象疾患など恒久化の内容について検討を行い、その骨格を取りまとめたうえで、診療報酬上の取り扱いも含め実施に向けた取り組みを進めるべきと提言。

その際は、安全性と信頼性をベースに時限的措置で明らかとなった課題や患者の利便性を踏まえ、恒久化の内容について具体的なエビデンスにもとづき検討を行うよう促した。

骨格は今夏を目途に取りまとめ、その後、実施に向けた取り組みについて順次検討・結論・措置するとした。

答申に明記された「オンライン診療・服薬指導の普及」の要請内容は、規制改革推進会議が昨年12月22日に取りまとめた「当面の規制改革の実施事項」と同様の書き振りとなっており、そこから一歩踏み込んだ対応方針は示されなかった。

他方、医療分野におけるデジタル化の促進については、医療情報へのアクセスやその共有・活用を可能とし、新たなサービス展開や患者起点のサービス選択を可能とするうえでも極めて有効な手段であると指摘。

これに対し、文書の作成・確認や情報の共有・活用などに関する制度と運用の仕組みは、デジタル技術の活用を前提としたものとは言い難い現状にあり、医療現場の大半は未だに人手を介した作業、紙でのやり取りを基本とした状況にあると問題提起した。

このため、処方箋などの文書で利用が推奨されているHPKI以外の電子署名の利用に資するよう、今年度中に資格の確認方法や確認時の考え方を明らかにし、対応するよう要請。

また、電子カルテなどのデータをシステム的に処理して治験の症例報告書を作成した場合、簡素な方法により原資料との照合・検証が可能であることを今年度中に明確化し、周知することを求めた。

このほか、答申は、医療・介護分野で重点的にフォローアップに取り組んだ事項である「一般用医薬品(スイッチOTC)選択肢の拡大」と「社会保険診療報酬支払基金に関する見直し」などについて明記。

このうち、支払基金の見直しは、審査基準の統一化、審査支払システムの整合的かつ効率的な運用の実現に向け引き続きフォローアップしていくとした。

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