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健保ニュース 2021年5月合併号

3年度データヘルスの推進事業公募
成果連動型の保健事業を構築

厚生労働省の保険局保険課は、令和3年度高齢者医療運営円滑化等補助金を活用する「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業」で、健保組合に助成する成果連動型民間委託方式(PFS:Pay For Success)による保健事業に関しての公募要領をまとめ、4月15日付で健保組合に事務連絡した。

PFSは、事業の実施者が成果に応じた委託費を民間事業者に支払うことでインセンティブを働かせて、より高い成果の創出を図る仕組み。政府は、2~4年度の期間をPFSアクションプランとして、地方自治体等が実施する保健事業のPFSの普及・促進を掲げている。被用者保険においても同様の方針で、今回、予算措置としてPFSを取り入れる健保組合の保健事業に財政支援するのは、初めての試みで、こうした保健事業のモデルを構築することを目的とする。

PFSによる保健事業は、保険者が民間事業者に委託して実施させる保健事業のうち、解決をめざす健康課題に対応した成果指標が設定され、民間事業者に支払う額を成果指標の改善状況に連動させる。これにより事業の費用対効果が高まり、効果的・効率的な保健事業の展開が期待される。

事業内容は、健保組合が加入者の健康課題を把握し、健康課題の解決につながる保健事業をPFSにより実施。事業のスキームや実績、事業実施から得られた課題などを報告書にまとめるなど、PFSによる保健事業のモデルの横展開に資する基礎資料を作成する。

厚労省は保健事業の例として、▽被扶養者に対する保健事業(特定健診・保健指導の実施率向上など)▽上手な医療のかかり方の促進(セルフメディケーションなど)▽メンタルヘルス対策▽生活習慣病の重症化予防▽禁煙支援▽がん検診の個別受診勧奨─を示し、このほかにも幅広く事業を募る。健康寿命の延伸や医療費適正化の関係性を論理的に示す保健事業の「ロジック・モデル」を求める。

健保組合と委託業者間における支払条件について、総事業費は事業完了をもって支払う基礎分と、成果指標の達成度合いに応じて支払う成果連動分で構成し、成果連動分は総事業費の2割以上とする。補助額は1組合当たり1000万円の助成を上限とする。

保健事業共同化も推進
複数健保で実施

また、厚労省保険局保険課は、3年度の「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業」のうち、保健事業の共同化支援に関する補助事業の公募要領も同日付で健保組合に事務連絡した。

保健事業の共同化支援は、平成29年度からスタートし、30年度、令和元年度と続き、今回で4年目となる。事業の内容は、複数の健保組合が加入者の健康課題などを共有したうえで、ヘルスケア事業者(大学、研究機関、健診機関など)を含めたメンバーでコンソーシアムを構成し、共同で保健事業を実施するために必要な運営費等を補助する。コンソーシアムに含まれる健保組合のうち、1万人未満の加入者の組合が50%以上を占めることを条件とする。

また、今年度の1年間だけでなく長期的に事業を継続する意思があることや、事業の採択後にデータヘルス・ポータルサイトの「共同事業検索機能」に事業内容などを登録・掲載し、参加希望組合からの問い合わせに応じることなども要件とする。補助額は代表組合に500万円を上限に助成する。

健保連都道府県連合会で実施されている共同事業は、補助対象外とする。
 PFS、共同化支援のいずれの事業も申請書の提出期限は5月21日で、厚労省に設置する選定委員会の審査を経て6月中に採択・不採択の結果を連絡する。厚労省の3年度健保組合関係予算では両事業を合わせて1.4億円を確保している。

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