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健保ニュース 2021年4月下旬号

衆院厚労委が健保法改正案の参考人質疑
佐野副会長 2割負担の早期実施を要望

衆院厚生労働委員会(とかしきなおみ委員長、自民)は20日、審議中の健康保険法等改正案に対し、参考人から意見を聴取し質疑した。健保連の佐野雅宏副会長ら4氏が参考人として出席。佐野副会長は政府案に盛り込まれた後期高齢者の2割負担導入について、「高齢者と現役世代の負担と給付のアンバランスの是正、現役世代の負担軽減の観点から評価できる」と述べ、早期かつ着実に実施するよう求めた。また、次期改革に向けて、▽後期高齢者の現役並所得の基準見直しおよび公費投入▽後期高齢者の保険料設定のあり方など、高齢者医療制度のさらなる見直し▽保険給付範囲の見直し─などの課題に対する早期検討と、財政状況が厳しい健保組合への財政支援の実施を要望した。

佐野副会長は冒頭、2022年を境に団塊の世代が後期高齢者に到達し始めて、後期高齢者が急増する一方、支え手の減少が加速する人口構成の推移を指摘。後期高齢者1人を支える現役世代の人数は2015年に5.4人だったが、2020年に4.6人、2025年度には3.7人まで減少する推計値を踏まえ、「現行制度のままでは、現役世代の負担は限界を超え、国民皆保険制度の維持も危うくなる」として、こうした事態を迎える局面を「2022年危機」と訴え、高齢者医療制度の早期見直しを要望してきた経緯に理解を求めた。

健保組合の被保険者1人当たり後期高齢者支援金の推移は、2014年度を100とすると、2025年度に175まで大きく伸長する見込みで、加入者の医療給付費の伸びを大幅に超える状況を示した。一方、コロナ禍で今後も賃金の大幅な伸びが期待できないなかで、一層増大する拠出金負担を一刻も早く抑制する必要から、「制度の見直しは時間との闘いである」と強調した。

また、70歳未満(未就学児を除く)の自己負担割合が低所得や住民税非課税の者も含めて一律3割である点を踏まえ、「年齢だけで負担割合を考えるのではなく、負担能力のある方には負担してもらうことが、まさに全世代で支える社会保障と言え、支え手である現役世代の納得感につながる」との考えを示した。

政府案にもとづく現役世代の負担軽減効果額は「十分とは言えない」としたが、2022年度の2割負担導入を不可欠と強調し、10月以降の年度後半を予定している施行時期について、可能な限りの早期実施を求めた。また、今回の改正を契機として、2割負担のさらなる対象範囲の拡大に向けて早期検討の開始を要請した。

委員からの質疑は、改正案の審議の焦点となっている2割負担の問題が多く取り上げられ、保険料の見直しに対する健保連の見解が質された。これに対し、佐野副会長は「立憲民主党の提案は1つの考え方と思うが、それで負担割合の見直しをしなくていいということにはならない」「現役世代の負担増は危機的だ。時間的な闘いであり、早く実施してもらわなければならない」と強調した。

なお、参考人の前葉泰幸氏(全国市長会相談役・津市長)は、政府案に賛成を表明。二木立氏(日本福祉大学名誉教授)、住江憲勇氏(全国保険医団体連合会会長)は、「応能負担の原則は税、保険料であり、負担割合に適用すべきではない」などとして反対した。

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