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健保ニュース 2021年4月上旬号

フォーミュラリーの推進へ
幸野理事 次期改定で後押し必要

健保連の幸野庄司理事は、3月24日に開催された中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)の総会で、令和4年度の次期診療報酬改定を視野に、「フォーミュラリー」を推進するための診療報酬上の後押しが必要との考えを改めて示した。

有効性や安全性、費用対効果などを踏まえ作成した採用医薬品リストなどを意味する「フォーミュラリー」については、2年度の診療報酬改定に向けた議論のなかで、厚生労働省が推進するための診療報酬上の措置を提案した。

支払側は、2年度診療報酬改定に関する要請書や意見書のなかで、「有効性・安全性を前提に経済性も考慮した処方の推進策を診療報酬上で講じるべき」と訴えてきたが、診療側等の反対により導入は見送られ、2年度改定の答申書附帯意見に、「病院内における医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方の取組について、院内における実施体制や実施方法等の実態把握や分析等を進めること」と明記された経緯がある。

この日の総会では、診療報酬改定結果検証部会から、「令和2年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(2年度調査)の報告書」が報告された。

このなかで、病院における「フォーミュラリー」の状況をみると、「定めている」が6.1%、「定める予定がある」が13.4%、「定めていない」が76.4%で、「定めている」と「定める予定がある」の合計は約2割に達することが明らかになった。

薬剤の種類別にみると、「定めている・定める予定」の合計は、「プロトンポンプ阻害薬(PPI)経口薬」が58.4%と最も多く、次いで、「RAS系薬(ACE阻害薬、ARB等)」の45.8%などと続く。

「フォーミュラリー」を設定した病院の80.0%がメリットを感じており、内容は、▽患者の経済的負担が軽減された▽後発品の使用促進につながった▽医薬品の購入費削減、経営が合理化された▽薬物治療を標準化し、安全性が向上した─などだった。

一方、「フォーミュラリー」を設定しない病院の70.7%が「メリットは感じているが設定が困難である」と回答。「メリットが感じられない」(20.2%)を大きく上回り、設定が困難と考えられる理由は、「マンパワー不足」が79.7%と最も多かった。

幸野理事は、8割の病院がメリットを感じているにも関わらず、マンパワー不足などを理由に設定が困難な状況となっている「フォーミュラリー」について、「国を挙げてフォーミュラリーを推進するためには、次期診療報酬改定で何らかの後押しが必要」との考えを示した。

診療側の島弘志委員(日本病院会副会長)は、「フォーミュラリーの推進は重要なことである」との認識を示したうえで、「いかに適切な薬剤を使うかという考え方と同時に、クオリティ・インディケーターやクリニカルパスの使用により医療の質を高めていく考え方の導入も求められる」と言及した。

一方、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「後発品の信用問題がしっかり解決できないと、フォーミュラリーを進めていくのは非常に難しい」との見解を示した。

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