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健保ニュース 2021年3月中旬号

オンライン資格確認の導入準備
カードリーダー申込率は3割
厚労省 3月下旬から本格稼働

厚生労働省は4日の社会保障審議会医療保険部会(部会長・田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)で、オンライン資格確認システムの進捗状況を報告した。マイナンバーカードの保険証利用の際に必要となる顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関・薬局は2月21日時点で、合計7万4830施設と全体の32.8%となった。内訳は、病院42.6%(3530施設)、医科診療所24.6%(2万1883施設)、歯科診療所27.0%(1万9168施設)、薬局50.5%(3万249施設)。申込率が全体で3割を超えたが、オンライン資格確認が始まる3月末時点で政府は医療機関等の6割程度の導入をめざしており、目標達成から依然大きな乖離がある。

マイナンバーカードの健康保険証利用の申し込み状況は、全国のカード交付枚数の8.2%(270万6944件)となっている。

厚労省保険局の山下護医療介護連携政策課長は、オンライン資格確認の導入準備の課題として、▽新型コロナウイルス感染症の影響に加えて、メリットが分かりづらいので開始してから導入を検討したいなどの様子見や、システムベンダーによる見積もりが過大となる傾向があるほか、世界的な半導体不足によるパソコン調達の遅れなどを指摘した。

こうした状況を鑑みて、▽カードリーダー導入に要する国の財政支援の3月末の締め切りに向けて、全医療機関等にリーフレットを再送付▽大手システムベンダーに見積もりの適正化を依頼し、個別医療機関からの相談に対応▽導入医療機関等における事例を紹介するホームページを作成し、導入のメリットを明示─などを実施し、新規申し込みの促進に取り組む方針を示した。

山下医療介護連携政策課長は、オンライン資格確認の「プレ運用」が4日からスタートしたことに触れたうえで、3月末からの本格稼働に向けて「現在の課題と対応の進捗を見る限り、スケジュールに変更なく進めていけると考えている」と述べ、当初の計画どおりに開始する考えを強調した。

健保連の佐野雅宏副会長は、医療機関等の導入準備が不十分との認識を示し、本格稼働後の4月以降の導入促進策に着手する必要性を指摘した。

オン資「プレ運用」19施設でスタート

4日からスタートしたオンライン資格確認の「プレ運用」には、医療機関と薬局合わせて19施設(医科8施設、歯科4施設、調剤7施設)が参画。3月下旬からの本格稼働を控えたテストと位置づけ、本格運用と同じ環境下で患者がマイナンバーカード(または健康保険証)を使って受診し、データの正確性やシステムの安定性、窓口業務の事務処理状況などを確認する。

厚労省は今後、プレ運用の対象医療機関・薬局を徐々に拡大し、最終的に500施設程度で試行することを予定している。

オンライン資格確認システムを導入する医療機関・薬局は、マイナンバーカードか保険証で資格確認する。保険証の場合の資格確認の手順は、患者が医療機関等の窓口に提示した保険証を職員が預かり、保険証に記載されている記号番号をパソコン入力する。

マイナンバーカードでの資格確認の場合は、患者が施設内に設置されているカードリーダーにカードをかざして、顔認証による照合か4桁の暗証番号を入力する。カードをかざしてから資格確認が完了するまでの間、患者が自身の特定健診や薬剤情報を当該医療機関等に提供するか否かの同意確認が表示され、いずれかを選択する。

これらの情報を診察や健康管理のために使用し、特定健診情報は令和2年度以降に実施し順次登録された過去5年分、薬剤情報は3年9月診療分のレセプト(医科・歯科・調剤・DPC)から抽出を開始し過去3年分の情報の閲覧が可能となる。

保険者は特定健診のデータ登録状況を周知

特定健診データをマイナポータルなどで閲覧するためには、保険者がデータをオンライン資格確認等システムに登録する必要がある。

データ登録の手法は、法定報告(健診実施年度の翌年11月1日までの報告)の機会を活用して登録するほか、月次で随時登録することもできる。

保険者がデータを登録する前では、医療機関等が患者から同意を得てもデータを閲覧できず、国民もマイナポータルで自身のデータを閲覧できない。このため、厚労省は、保険者が加入者に事前に登録状況や登録予定日を周知するなどの必要性を指摘している。医療機関等にも保険者の登録状況を厚労省ホームページに掲載して周知する。

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