HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2021年3月中旬号

健保ニュース

健保ニュース 2021年3月中旬号

3年度の毎年改定へ薬価告示
新薬創出等加算 前回改定から38品目増加
対象企業は3増の87社に

厚生労働省は初の毎年薬価改定となる令和3年度薬価基準改定を5日付で告示した。
 3年度薬価改定は2年薬価調査の平均乖離率8.0%の0.625倍(乖離率5.0%)を超える品目を対象範囲とし、薬価と市場実勢価格との乖離率から調整幅(2%)と一定幅(0.8%)を緩和したうえで引き下げる。全品目の約7割が改定対象となり、医療費への影響額はマイナス4300億円を見込む。

3年度薬価基準の収載医薬品の告示数は内用薬8549品目、注射薬3534品目、外用薬2118品目、歯科用薬剤27品目の合計1万4228品目。

 1万4228品目を分類別にみると、▽新薬2335品目(全体に対する薬価ベース割合59.8%)▽長期収載品1703品目(同16.5%)▽後発医薬品7033品目(同17.1%)▽その他の品目3157品目(同6.6%)─で、後発品の数量割合が全体の半数近くを占める一方、薬価ベースでは全体の2割弱にとどまる。

算定ルールは、▽新薬創出・適応外薬解消等促進加算(加算のみ)▽基礎的医薬品▽最低薬価▽後発医薬品等の価格帯─を適用。元年10月の消費増税に伴う臨時改定と同様、新薬創出等加算の累積額控除や長期収載品の引き下げルールは適用しない。

市場実勢価格にもとづく薬価引き下げを猶予・緩和する新薬創出等加算の対象は、▽希少疾病用医薬品175成分、267品目▽開発公募品12成分、22品目▽加算適用品92成分、173品目▽新規作用機序医薬品のうち基準該当品47成分、82品目▽新規作用機序医薬品から3年以内かつ3番手以内のうち1番手が加算適用品または基準該当品25成分、49品目─の合計351成分、593品目で、2年度薬価改定(335成分、555品目)から16成分、38品目増加した。

2年度薬価改定以降に発売された製品が加わった一方で、後発品が現れた製品などが外れた。通常は加算の要件を満たさなくなった時点で、過去に受けた累積加算相当額を返還し、大幅に薬価を控除するが、4年度改定まで返還を保留する。

対象企業は87社で2年度薬価改定時の84社から増加。研究開発の積極性に応じた3段階の評価で、満額の加算を受けられる区分Ⅰが21社、9掛けの区分Ⅱが58社、8掛けの区分Ⅲが8社で、区分Ⅱが3社増えた。

臨床で古くから使用され医療に不可欠な基礎的医薬品は、採算割れを防いで安定供給を確保するために、同じ成分の薬価を販売額の最も大きい銘柄に集約して維持する。

対象数は、▽不採算147成分、469品目▽病原生物100成分、272品目▽麻薬9成分、21品目▽生薬46成分、53品目▽軟膏基剤3成分、6品目▽歯科用局所麻酔剤1成分、2品目─の合計306成分、823品目で、2年度薬価改定の763品目から品目数のみ増加した。

後発品の価格帯は、2年度薬価改定で、価格帯の集約に伴い改定前より薬価が引き上がることを抑制するためのルールを設けた結果、7価格帯に増えた。

1価格帯が775成分規格、2価格帯が241成分規格、3価格帯が68成分規格、4価格帯が34成分規格、5価格帯が6成分規格、6価格帯と7価格帯は1成分規格となった。

このほか、平成30年度の薬価制度の抜本改革で導入した、増産のため市場から撤退予定のG1品目にかかる後発品として、2成分、4品目が対象となった。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年