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健保ニュース 2021年3月上旬号

令和3年度健保連事業計画
改革の早期具体化など最重点
主張実現活動を継続 健保連総会

健保連は2月18日に予定していた第209回総会を新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から書面審議で行い、令和3年度事業計画などの議案をいずれも原案どおり了承した。議決日は2月25日。事業計画の最重点事業項目には▽制度改革における健保組合・健保連の主張実現に向けた活動の継続▽優れた保険者機能を発揮できる健保組合方式の維持・発展に向けた支援策の推進▽事業の検討・見直し―の3点をあげた。団塊の世代が後期高齢者入りして高齢者医療費が急増する「2022年危機」を視野に入れ、健保法等改正案の国会審議への対応をはじめ、制度改革が早期に具体化するよう主張・要請活動を展開する方針を示した。また、コロナ禍の影響による保険料の減収などで財政がひっ迫した健保組合への財政支援の必要性も強調した。

コロナ禍での財政支援も強調

「2022年危機」対応に関連した国の制度改革の動きについては、現役世代の負担増抑制を柱の1つとして、一定所得以上の後期高齢者の医療費自己負担を2割に引き上げることなどを盛り込んだ健保法等改正案が2月5日、今国会に提出された。

健保連の3年度事業計画は、健保法等改正案の動向に注視し、改革ができるだけ早期に具体化するよう主張・要請活動を行うとともに、実務上の課題を把握・確認し、必要な措置を求めるとした。

政府が今改正で予定する2割負担の対象範囲(所得上位30%)を不十分として、現役世代のさらなる負担軽減と国民皆保険制度の持続可能性確保に向けて、次なる改革に向けた取り組みを国に求めつつ、国民に理解を求める広報活動などを展開する。

現役並み所得者への公費負担5割の投入や不合理な調整方法である現行の前期高齢者財政調整制度の見直し、拠出金の上限設定のあり方など、高齢者医療費の負担構造改革に引き続き取り組む。

また、高齢者医療費の増加などにより健保組合の拠出金負担はすでに限界に達しているが、コロナ禍による保険料収入の減少が加わり、健保組合の負担感がさらに増していることから、引き続き財政支援の確保・充実を強く求めていくとした。

これらの要請活動を効果的に行うため、健保法等改正案の国会審議への対応をはじめ、健保組合・健保連の要求実現に向けて各政党との間で築いてきた協議の場(議連や政策懇談会等)を活用し、波状的・重点的な要請行動を積極的かつ的確に展開する。

このほか、▽令和4年度診療報酬改定▽保険給付範囲の見直しなど重点的医療費適正化策の実現▽社会保険診療報酬支払基金の抜本改革─に向けた対応も重視した。

また、健保組合が優れた保険者機能を発揮できるよう、特定健診・保健指導の実施率向上に向けて支援する。具体的には、「特定保健指導モデル実施」を都道府県連合会と共同して横展開しつつ、生活習慣改善の重要性を訴える広報媒体などを活用する。

第4期制度の見直しに向けては、関係機関と連携し労働安全衛生法にもとづく健診との検査項目などの差異をはじめとする制度上の課題を解決するとともに、保健指導対象者への柔軟な保健指導の導入をめざし、モデル実施のエビデンスを取りまとめ、検討を進める。

このほか、▽健保組合の「レセプト管理・分析システム」を共通基盤としたデータヘルス計画およびコラボヘルスのための健診・医療費分析の支援▽健保組合の保険者機能充実・強化に向けた役職員のスキルアップを目的とする事業の実施▽組合運営サポート事業の実施─などに取り組む。

事業の検討・見直しについては、医療費の高額化による高額医療交付金交付事業の申請件数と申請額の増加に対応するため、交付基準のあり方を含めた4年度以降の対応を検討するほか、自然災害や感染症拡大などの非常時においても可能な限り会員組合サービスを維持するため、健保連本部の事業継続計画(BCP)の策定に取り組む。

主な継続的事業には、医療費適正化対策の推進、効率的な医療提供体制の構築に向けた活動の強化、保健事業関連施策の推進、健保組合・健保連に関する情報の発信など8項目をあげた。

3年度予算など18議案を了承

健保連の総会は、3年度の事業計画や一般会計収入支出予算、支払基金との契約関係など18議案を了承した。

一般会計予算は総額37億5004万円で、このうち会費収入が27億3721万円を占める。また、国から高齢者医療円滑化等事業補助金を4億728万円受け入れる。

健保組合の代理として健保連が支払基金と取り決める、社会保障・税番号制における情報連携業務およびオンライン資格確認等事務に関する3年度契約については、ICT委員会と3月の理事会(書面審議)の承認後に締結する。情報連携事務とオンライン資格確認等事務の契約を一本化し、中間サーバーの使用に関する運営負担金(加入者1人当たり月額単価)などを改正する。

また、支払基金とのオンライン資格確認等事務の2年度契約の変更などの承認を3月の理事会に委任することを決めた。

オンライン資格確認が3年3月1日から開始されることを前提に、2年度に支払基金と締結した1か月分の運営負担金(加入者1人当たり1.10円)の契約内容を変更する。

オンライン資格確認の本格運用が3月のプレ運用を経て同月下旬になる見通しのため、現行契約上3月1日から1か月分の費用負担の取り扱いを改めて決める。

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