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健保ニュース 2020年11月中旬号

健保連が新型コロナ受診意識調査
通院控えも7割が体調悪化せず
長期処方、ОTC拡大など指摘

健保連は5日の記者会見で、「新型コロナウイルス感染症拡大期における受診意識調査」(速報版)の結果を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、医療機関への通院を控えた者のうちの約7割が「特に体調が悪くなったとは感じない」と、体調悪化に否定的な回答が半数超に上ることがわかった。

調査は、新型コロナ感染拡大による医療機関へのかかり方、自身の体調や意識などに変化があったのかを把握するため、今年9月に全国の20~70代の男女4623人を対象にアンケート方式で実施した。

令和元年12月時点(感染拡大前)で持病の治療のために医療機関に定期的に通院していた「持病あり」群(3500人)、2年2月(感染拡大以降)に医療機関の受診を検討するような体調不良を経験した「持病なし・体調不良あり」群(1123人)に分けた。

それによると、緊急事態宣言下の今年4~5月に、「持病あり」の者のほぼ4人の1人に相当する24.7%が通院を抑制(頻度減+通院とりやめ)したことがわかった。なお、かかりつけ医のいる者の抑制は20.3%で、全体の24.7%よりも低い。

通院抑制に伴って生じる体調の変化は、「特に体調が悪くなったとは感じない」が最も多い69.4%、「体調が回復した」は7.3%、「体調が少し悪くなった」10.7%などだった。

通院を控えた理由は、医薬品の長期処方(84.2%)や電話・オンライン診療(80.0%)などで対応したケースが目立つ。また、「自身の体調管理により、通院する必要性を感じなくなった、あるいは頻度を減らしてもよいと感じた」(72.0%)も多い。

「持病なし・体調不良あり」群で、感染拡大以降、外来を受診しなかった者は14.2%。「受診をしなくても体調が回復した」は59.4%で、受診しなかった理由は、「病状・体調が回復したから」(81.4%)、「市販の薬を飲んで症状に対処していたから」(70.4%)などが多い。

オンライン診療への希望は、全体の36.8%が初診時、54.0%が再診時での利用意向を示し、特に若い世代でその傾向が強い。

新型コロナ感染拡大を契機とした意識の変化は、以前に比べて「生活習慣病の予防に関心を持つようになると思う」が全体の39.2%、「生活習慣病以外の病気の予防や健康管理に関心を持つようになると思う」23.5%、「医療機関を受診するかどうかを慎重に考えるようになると思う」23.5%、「特に意識は変わらないと思う」29.9%などとなっている。

健保連は、調査結果を受けて、▽かかりつけ医を普及し、医薬品の適切な長期処方やオンライン診療などを組み合わせ、患者が適正に受診できる仕組み▽様々な症状に自助努力で一定程度対応できるよう、市販薬(スイッチОTC等)の対象範囲の拡大などセルフメディケーションの促進▽オンライン診療の環境整備と推進▽予防・啓発など保険者機能の発揮─の必要性を指摘している。

「新型コロナウイルス感染拡大期における受診意識調査」について(速報版)(PDF)

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