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健保ニュース 2020年11月中旬号

健保連が改革重点要望
後期2割は一般区分の全該当者
「現役世代を守るために」

健保連は5日の記者会見で、現役世代を守る観点から、医療保険制度改革に向けた重点要望を発表した。後期高齢者の自己負担見直しでは、2022年度までに、高額療養費制度の所得区分で一般に該当するすべての75歳以上に2割負担を導入することを提起した。

3割負担が適用される現役並み所得を除き、一般と住民税非課税の区分に該当する後期高齢者は現在、1割負担となっている。一般に該当する後期高齢者は約900万人、全体の約53%を占めており、健保連の提案で過半数が2割となる。

現役世代が負担する後期高齢者支援金は今年度予算で総額6兆8369億円(このうち健保組合2兆2966億円)で、今度、現役世代の負担は毎年3000~4000億円増加すると推計。このため、2割負担の範囲は、「現役世代の負担軽減につながるようできるだけ広くするべきである」としている。

一方、後期高齢者の実際の自己負担については、負担上限を設けている高額療養費制度があることから、「必ずしも負担が2倍になるわけではない」と指摘し、同制度の役割を踏まえて考える必要性も指摘している。

後期高齢者の自己負担見直しの視点として、高額療養費制度のほか、▽団塊世代の高齢化による負担増を全世代でどう公平に負担するのか▽後期高齢者の自己負担の変化だけでなく、高齢者医療を支えている現役世代の保険料負担もトータルに考慮すべき▽公平な負担応力の観点から、課税所得だけではく、非課税年金や金融資産をどう考えるのかも論点─をあげた。

健保連の佐野雅宏副会長は会見で、2割負担の適用範囲について、全世代型社会保障検討会議の中間報告で、現役世代の負担上昇を抑える方針が明示されていることを踏まえ、「今回の見直しが現役世代の負担上昇の抑制につながるかどうかがポイントだ」と指摘した。

(健保連の医療保険制度改革に向けた重点要望は次の通り)


①後期高齢者の窓口負担の見直し
・団塊の世代が後期高齢者に移行する2022年度までに、低所得者の方を除いた上で、高額療養費の一般区分該当者すべて(約53%)に2割負担を導入。


②現役並み所得者の判断基準の見直し
・現役並み所得者の対象拡大に合わせ、現役並み所得者の給付費に公費を投入。
・少なくとも対象者を拡大する場合には、現役世代の負担が増えないようにすべき。


③その他
(1)大病院の外来受診時定額負担の対象拡大
・対象病院の範囲を狭めることなく確実に実施。公的医療保険の負担を軽減するよう見直す。かかりつけ医の普及促進や受診行動の適正化の観点から検討。


(2)薬剤についての適正な処方のあり方、保険給付範囲の見直し
・診療報酬制度に生活習慣病治療薬のフォーミュラリを盛り込む。
・市販品類似薬等の保険給付範囲からの除外、償還率の変更。


(3)被用者保険の適用拡大に伴う任意継続被保険者制度等の見直し
・短時間労働者への適用拡大を踏まえ、被用者でない退職者の制度である任継制度の見直しを実施。


現役世代を守るために―医療保険制度改革に向けた重点要望―(PDF)

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