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健保ニュース 2020年10月中旬号

日本健康会議が達成状況を報告
目標年度に5つの宣言を達成
健康経営優良法人は1476社

民間主導で健康づくりを推進する日本健康会議が9月30日に開催され、令和2年度に目標達成年度を迎えた「健康なまち・職場づくり宣言2020」の達成状況が報告された。平成28年度から5年間で達成をめざす8つの宣言のうち5つの目標を達成した。健保組合など保険者と連携して健康経営に取り組む健康経営優良企業は1476法人で、目標の「500法人以上」の約3倍に達し、28年度の138法人から約11倍増加した。保険者の取り組み状況を報告した健保連の佐野雅宏副会長は、企業と連携して加入者の健康増進に取り組む「コラボヘルス」を実施している健保組合では、メタボリックシンドローム該当者や重症化リスク保有者が減少する効果が現れていることを紹介し、取り組みの重要性を強調した。

経済界や保険者団体、医療関係団体など民間主導で健康づくりを推進する日本健康会議が9月30日に開催され、会議発足時に採択した「健康なまち・職場づくり宣言2020」について、節目の年となる令和2年度の達成状況を報告した。

平成28年度から5年間で達成をめざす8つの宣言のうち、5つを達成。8つの目標のターゲットイヤーにあたる令和2年度の達成状況について、5年間の活動成果を総括した。

健保組合など保険者と連携して健康経営に取り組む企業は1476法人で、前年度の813法人から82%増加。目標として掲げた「500法人以上」の約3倍に達し、平成28年度の138法人から約11倍増えている。

協会けんぽや商工会議所などのサポートを得て健康宣言に取り組む企業は令和元年度に3万5196社となり、目標の「3万社以上」を達成済みだが、2年度は前年度比45%増の5万1126社で、5万社を突破した。健康宣言に取り組む企業は、平成29年度から4年連続で目標を達成し、28年度の2970社から17倍以上増加している。

情報通信技術(ICT)を活用して加入者に分かりやすい健康・医療情報を提供する宣言は、前年度から27保険者増えて2325保険者となった。

保険制度別の内訳は、引き続き協会けんぽと船員保険が目標を達成したほか、健保組合が前年度比1%増の709組合、共済組合が同16%増の43組合、市町村国保が同1%増の1438市町村、国保組合が同12%増の55組合、広域連合が同増減なしの32団体で、広域連合を除くすべての保険者が前年度を上回っている。

全保険者の実施を目標とすることから、目標達成とはならなかったが、28年度の1774保険者から1.3倍超増えている。

後発医薬品の利用勧奨など、後発品の使用割合を高める取り組みについては、前年度比180保険者増の995保険者が実施した。

保険者別の内訳は、協会けんぽと船員保険が前年度に続き目標を達成したほか、健保組合が前年度比15%増の278組合、共済組合が同11%増の50組合、市町村国保が同29%増の568市町村、国保組合が同47%増の28組合、広域連合が同10%増の23団体とすべての保険者が前年度を上回ったが、加入者の健康・医療情報の提供に比べると低調な結果となっている。

全保険者の実施を目標とすることから、目標達成とならなかったが、28年度の262保険者から約3.8倍増加した。

一般住民の予防・健康づくりにポイントを付与するなどして行動変容を促すインセンティブ事業に取り組む自治体は、令和元年度(823市町村)に目標の「800市町村以上」を達成済みだが、2年度は前年度に比べ201自治体増の1024市町村となり、1000市町村を突破した。市町村数は、平成28年度の115市町村から約9倍増えている。

かかりつけ医等と連携して糖尿病など生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体は、前年度に比べ112自治体増の1292市町村、13団体増の45広域連合となった。

昨年度より、「800市町村」から「1500市町村」、「24広域連合」から「47広域連合」に目標を上方修正したため、目標達成とはならなかったが、平成28年度に比べると、118市町村から約11倍、4広域連合から11倍超にそれぞれ増加した。

地域と職域が連携した予防に関する活動では、特定健診・保健指導の実施率の高い優良事例の共有や保険者横断的な医療費の調査分析、特定健診データの保険者間の移動などに全都道府県の保険者協議会が取り組んでおり、目標の47協議会を4年連続で達成している。

予防・健康づくりの企画・実施で複数の保険者から推薦を受けるなど一定の基準を満たすヘルスケア事業者は、前年度比増減無しの123社だったが、「100社以上」の目標を3年連続で達成。28年度の88社から約1.4倍増えた。

日本健康会議の共同代表を務める日本商工会議所の三村明夫会頭は、会議冒頭のあいさつで、「現役世代の人口が減少していくなか、社会保障の持続可能性を確保していくためには、社会の活力を維持・向上していく基盤としての健康寿命の延伸にこれまで以上にしっかり取り組んでいく必要がある」と指摘。

企業の生産性向上や将来的な医療費の適正化に寄与する、健康スコアリングレポートをきっかけとした企業と保険者のコラボヘルスや健康経営の推進を両輪に、日本健康会議として取り組みを進めていくとした。

来賓としてあいさつした加藤勝信内閣官房長官は、「日本健康会議という枠組みが日本の予防・健康づくりの広がりに有効に機能している」と評価し、今後も予防・健康づくりを広く深く浸透していくことに期待した。

田村憲久厚生労働相は、「新型コロナウイルス感染症に伴い、日々の健康の重要性が再認識された」と述べたうえで、他省庁との協力を進めながら、これまで以上に日本健康会議の取り組みをバックアップしていくとの考えを示した。

梶山弘志経済産業相は、医療・介護関係者や民間事業者といったヘルスケアサービスの供給側、国民や企業といった需要側の双方の視点に立ち、今後の予防・健康づくりの課題について議論を進め、ヘルスケア産業の発展をめざすと言及した。

フォットセッションの後、日本健康会議の渡辺俊介事務局長から「健康なまち・職場づくり宣言2020」の達成状況の報告があり、5年間の成果として、「職場や地域で健康づくりを進める輪が広まった」と評価。今年度は1つの節目の年となるが、健康寿命の延伸や人生100年時代に向けた健康づくりについては、引き続く課題として、今後考えていく必要があるとの認識を示した。

その後、保険者から取り組み状況の報告があり、最後に、日本健康会議の共同代表を務める日本医師会の横倉義武名誉会長が、日本健康会議の成果とこれからの「健康なまち・職場づくり」をテーマに講演した。

令和3年度以降の健康づくりの目標について厚生労働省は、今後の5年間に各保険者が健康づくりに取り組み、推進するための目標を策定する意向を示している。

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