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健保ニュース 2020年8月合併号

全国健康保険協会運営委員会
協会けんぽ 元年度決算、事業を了承

全国健康保険協会運営委員会(委員長・田中滋埼玉県立大学理事長)は7月27日、協会けんぽの令和元年度決算報告書と事業報告書を了承した。

元年度事業は、第4期(平成30年度~令和2年度)の保険者機能強化アクションプランで掲げる①基盤的保険者機能(レセプトや現金給付の審査支払等)②戦略的保険者機能(保健事業等)③組織体制の強化─の事業運営方針を引き続き具現化するため、目標値として設定した21項目の重要業績評価指標(KPI)にもとづき具体的な取り組みを進めてきた。

報告書では、事業運営方針に沿った展開について、新型コロナウイルス感染症の拡大により、3月からの集団健診を中止するなど年度末に事業実施を控えざるを得ない事態が生じたが、3か年計画のアクションプランの中間の年度として、「総じて目標達成に向かって事業を着実に実施し、確固たる基盤を築いた年度であった」と総括した。KPIの進捗は達成が10項目、概ね達成が4項目、未達成が7項目だった。

①基盤的保険者機能関係では、レセプト点検の推進について、社会保険診療報酬支払基金と合算した査定率が0.362%となり、対前年度以上を目標とするKPI(0.383%以上)を達成できなかった。支払基金の一次審査による査定額は158億円と前年度と同額だったが、協会の再審査による査定額が54億円と前年度より2億円減少した。未達成だった要因については、支払基金における医療機関等からの請求の適正化効果と一次審査の精度向上が影響したと分析している。

柔道整復療養費の不正が疑われる申請への対応は、多部位・頻回受診の加入者に文書による施術内容の確認や適正受診を啓発している。

その結果、申請件数全体に占める3部位以上かつ月15日以上の申請割合が1.12%となり、前年度より0.11ポイント減少し、対前年度以下とするKPI(1.23%以下)を達成した。

また、部位を変えて負傷と治癒を繰り返す「部位転がし」の申請に対しても、3万2534件の文書照会による確認などを実施。これらの取り組みを通じて、柔整療養費の元年度実績は、加入者数が増加しているなか、支給件数1520万5435件、支給決定額653億円で、前年度に比べ2万6883件(0.2%)、7億円(1.0%)減少し、「適正化が図られている」とした。

②戦略的保険者機能関係では、特定健診項目にがん検査を含む40歳以上の生活習慣病予防健診の実施率が52.3%と前年度比で1.4ポイント増加、KPI(53.4%)を概ね達成した。1598万人の健診対象者のうち836万人が受診し、受診者数が62.6万人(8.0%)増加。実施率、受診者数ともに過去最高を更新した。

被扶養者の特定健診受診率は25.5%と前年度から1.1ポイント増加したが、KPI(27.6%)を下回った。加入者の特定保健指導実施率は17.7%と前年度から1.7ポイント上昇するとともに、KPI(16.8%)も達成した。

後発医薬品の使用促進については、2年3月診療分の使用割合が78.7%とKPI(78.5%以上)を達成したが、上昇幅は縮小傾向にあり、現状の推移で2年9月までの「80%の達成は困難」と指摘。今後、都道府県を中心とする多くの関係者と連携し、地域で協力して取り組む必要性から、引き続き各関係団体と連携していく考えを示している。

このほか、元年度の適用状況は、被保険者数が2480万5千人(前年度比4.4%増)、被扶養者は1565万6千人(同0.1%増)で加入者は4046万人(同2.6%増)となり、初めて4000万人を超えた。平成31年4月に大規模健保組合が解散したことで、協会けんぽの加入者が大幅に増加した。平均標準報酬月額は29万592円年で前年度に比べ0.7%増加した。

適用事業所数は232万5千事業所で同4.5%増加した。
 協会と健保組合の間の事業所異動は、大規模健保組合が解散した影響で健保組合から協会への移行が921事業所と同677事業所増加した。

協会から健保組合への移行は694事業所で同39事業所増加。健保組合から協会に移った事業所数が、協会から健保組合に移った事業所数を大幅に上回った。

協会けんぽの元年度度決算は、収入が総額11兆8848億円、支出が総額11兆3648億円で、収支差は5200億円の黒字。

主な収入の内訳は、保険料等交付金が10兆4871億円、任意継続被保険者保険料が745億円、国庫補助金等が1兆2628億円など。支出の内訳は、保険給付費6兆3668億円、拠出金等3兆6246億円、介護納付金1兆671億円など。

収支差の内訳は医療分が5320億円の黒字、介護分が120億円の赤字となっている。
 なお、協会決算における医療分の収支差は、「協会けんぽの決算見込み」(協会会計と国の特別会計との合算ベース)(本誌7月中旬号既報)の黒字額5399億円と比較し79億円の差額がある。これは未交付保険料が国に留保されていることが理由。

具体的には、平成30年度末時点で未交付だった224億円が元年度に交付された一方、元年度末で未交付となった303億円が2年度に交付されるため、元年度に遅れて交付された前年度分と翌年度に持ち越された未交付分との差額が生じることになる。

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