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健保ニュース 2020年8月合併号

令和元年国民生活基礎調査
男性喫煙率 初の3割下回る28.8%

厚生労働省は7月17日、世帯の構成や所得状況などを調べた令和元年の国民生活基礎調査の結果を公表した。それよると20歳以上の男性で、「喫煙している」と回答した割合が28.8%で平成28年の前回調査時の31.1%から減少した。男性の喫煙率が統計上初めて30%を切った。

調査は、保健、医療、福祉、年金、所得など国民生活の基礎事項を把握し、厚労行政の企画・立案に必要な基礎資料を得ることを目的に実施。昭和61年を初年として3年ごとに大規模な調査を実施し、中間の各年は簡易な調査を実施する。令和元年は12回目の大規模調査となる。

元年調査は6~7月に実施し、世帯や健康の状況は約21.7万世帯、所得と貯蓄は約2.2万世帯、介護は6295人を集計した。

単独世帯が最多に 高齢者世帯は最高更新

世帯構造は、「単独」が最多の28.8%で、「夫婦と未婚の子のみ」が28.4%、「夫婦のみ」が24.4%で、少子高齢化の進行と合わせて「単独」と「夫婦のみ」の2つが世帯数とともに増加傾向にある。また、初めて「単独」の世帯数が「夫婦と未婚の子のみ」の世帯数を上回って最多となった。一方、最小の「三世代世帯」は5.1%に減少した。

世帯類型では、主に65歳以上で構成する「高齢者世帯」が過去最高の28.7%となった。65歳以上の高齢者のうち、「子と同居」する割合は35.9%と年々減少している。

児童のいる世帯は全世帯の21.7%に減少し、このうち1世帯当たり児童数が「1人」は46.8%で過去最高となり、「2人」は40.3%だった。児童を育てながら働く母親は72.4%と過去最高となった。

母子世帯を中心に生活「苦しい」過半数

平成30年の1世帯当たりの平均所得は552.3万円で前年と比べ0.1%増加した。
 このうち高齢者世帯は平均312.6万円で前年(334.9万円)と比べ6.7%減少した。
 厚労省は、高齢者世帯の平均所得の推移について、「前年と比べると減少しているが、前年は簡易調査年であり、サンプル数が少ない」としたうえで、「前回大規模調査年(平成27年所得=平均308.1万円)と比べると安定した推移がみられる。年金は特に変動要因がないため、働く高齢者が増加していることが要因として考えられる」との見方を示した。

児童のいる世帯は平均745.9万円だった。所得分布の状況は、平均以下が6割を占め、中央値は437万円だった。

1世帯当たり平均所得額の収入源を構成割合でみると、稼働所得が74.3%、公的年金・恩給が19.1%だった。高齢者世帯では公的年金・恩給が63.6%、稼働所得が23.0%となっている。

貯蓄が「ある」は全世帯の81.9%で平均1077.4万円、借入金が「ある」は28.5%で平均425.1万円。世帯主の年齢階級別にみると、貯蓄は60歳代の1461.7万円や70歳以上の1233.5万円、借入金は30歳代の1071.1万円や40代の1002.7万円が多かった。

所得が一定基準に満たない世帯員の割合を指す「相対的貧困率」は、3年前と比べ0.3ポイント減少し、15.4%となった。「子どもがいる現役世帯」では、0.3ポイント減の12.6%となった。このうち、「大人が1人」の場合は2.7ポイント減の48.1%、「大人が2人以上」の場合は増減なしの10.7%となっており、17歳以下の「子どもの貧困率」は0.4ポイント減の13.5%だった。

生活意識の状況は、生活が「苦しい」と回答した世帯の割合が54.4%と依然として半数以上が「苦しい」と回答しており、その割合は母子世帯では86.7%、児童のいる世帯で60.4%、高齢者世帯で51.4%となっている。

病気など自覚「有訴者」 3年前に比べて減少

病気やけがで自覚症状のある「有訴者」は、人口千人当たり302.5人で前回大規模調査の3年前に比べて3.4人減少した。性別で男は270.8人、女322.1人と女が若干高い。症状別にみると、男は「腰痛」の有訴者率が最も高く、次いで「肩こり」、「鼻がつまる・鼻汁が出る」、女は「肩こり」が最も高く、次いで「腰痛」、「手足の関節が痛む」となっている。

足腰に痛みのある高齢者は男205.5人、女254.5人で、女については第2次健康日本21に掲げる目標値260人をクリアした。

通院者(人口千対)は、404.0人で、男388.1人、女418.8人。疾病別にみると、男女ともに高血圧症が最も高く、男は糖尿病、歯の病気、女は脂質異常症、目の病気が続いた。

6歳以上の入院者を除く、健康意識の構成割合では、自身を「健康と思っている」と回答した者が86.1%(男87.1%、女85.1%)で8割を超え、「あまりよくない」が10.9%、「よくない」が1.7%となっている。

12歳以上で日常生活に悩みやストレスが「ない」が50.6%。「ある」が47.9%ですべての年齢層で男よりも女の方が高く、男女とも30~50歳代がピークとなっている。また、気分障害や不安障害に相当する心理的苦痛を感じている成人は10.3%だった。

20歳以上で喫煙している割合は男28.8%、女8.8%。ほとんどの年齢階級で低下しており、男女ともに20歳代が最も低下している。

健診・人間ドック 男女とも50代が最高

入院者を除いて過去1年間に健康診査や人間ドックを受けた成人は、男74.0%、女65.6%で、男女ともに50歳代が最も高く、男81.8%、女73.2%となっている。

政府は「未来投資戦略2017」で40~74歳の健診受診率を令和2年までに80%以上とする目標を設定しているが、元年は男77.2%、女69.7%で全体だと73.3%だった。

40~69歳の過去1年間におけるがん検診受診率は、男女ともに肺がん検診が最も高く、男53.4%、女45.6%。胃がん検診は男48.0%、女37.1%。大腸がん検診は男47.8%、女40.9%と男女ともに上昇傾向にある。

50~69歳で過去2年間に胃がん検診を受けた割合は、男54.2%、女45.1%。20~69歳の女性を対象とした子宮がん検診は43.7%、40~69歳の女性の乳がん検診は47.4%だった。

同居家族による介護 60歳以上が73.3%

介護保険法上の要支援・要介護者のいる世帯は、「核家族」が40.3%で最も多く、「単独」28.3%、「その他の世帯」18.6%、「三世代世帯」12.8%となっている。年次推移をみると「核家族世帯」の割合は上昇傾向であり、「三世代世帯」の割合は低下している。

要支援・要介護者のうち80歳以上の割合が増加しており、男は「80~84歳」の23.2%、女は「90歳以上」の28.6%が最も多くなっている。

介護が必要になった主な原因は、要支援者は「関節疾患」が18.9%と最も多く、「高齢による衰弱」16.1%、「骨折・転倒」14.2%と続く。要介護者は「認知症」が24.3%で最も多く、「脳血管疾患(脳卒中)」19.2%「骨折・転倒」12.0%となっている。要支援・要介護者を合わせた総数では、「認知症」が17.6%、「脳疾患疾患(脳卒中)」16.1%、「高齢による衰弱」12.8%となっている。

在宅の主な介護者は、同居する家族が54.4%、別居の家族が13.6%、事業者が12.1%だった。同居する主な介護者は配偶者、子、子の配偶者の順で多く、年齢層は60歳代が最も多い。

同居する主な介護者と要支援・要介護者の組み合わせをみると、要支援・要介護者が70歳代の場合に70歳代による介護が56.0%、80歳代だと50歳代による介護が31.6%となっている。同居する介護者の年齢は、60歳以上が73.3%と高齢化が進んでいる。

同居者による介護時間は、要介護3以上の家族を介護する場合、「ほとんど終日」が最も多かった。

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