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健保ニュース 2020年7月下旬号

医療等のデジタル化加速へ提言
経団連 オンライン初診を恒久化
患者が選択する医療を実現

日本経済団体連合会(中西宏明会長)は14日、「Society5.0時代のヘルスケアⅡ~DXによるCOVID─19対応とその先の未来~」と題する提言をまとめ、公表した。

COVID─19(新型コロナウイルス感染症)と共生する「withコロナ」を乗り越え、収束後の「postコロナ」を見据えたヘルスケアのDX(デジタルトランスフォーメーション)が急務と指摘。そのうえで、患者が選択する医療を実現する観点から、初診を含むオンライン診療・服薬指導の普及促進や恒久化、オンライン診療の対象疾病の範囲緩和などを政府に対し提言した。

「Society5.0時代のヘルスケアⅡ」は、COVID─19によって保健医療システムの脆弱性やヘルスケア分野のDXの遅れが浮き彫りになったと指摘し、COVID─19の共生・終息後を見据えた必要な取り組みについて、①個人起点のヘルスケアのDX②医療介護提供体制のDX③DXに向けた環境・関係法制度の整備─の視点から整理している。

①は、個人の健康医療介護にかかるライフコースデータを蓄積し、個人による閲覧や医療機関との共有を可能とするPHR(パーソナルヘルスレコード)を個人起点のヘルスケアのDXを進める鍵に位置づけ、民間PHRの開発・普及やPHRへのデータ紐づけ、PHRと新たに開発したサービスとのデータ連携が必要と提言。

PHRについては、医療データや事業主健診と連携し、個人起点の健康管理、予防、未病対策を推進するほか、個人のヘルスケアへの理解向上や行動変容を促すための対応を求めた。

新たなサービスの開発は、予防や未病対応効果が認められた非医療アプリに対する認証制度の新設に加え、医療アプリの推進に向けた、▽医療機器としての承認基準の明確化▽治療用アプリの早期承認制度の新設▽診療報酬制度における位置づけの検討─が必要とした。

②は、保健医療分野のAI活用推進とともに、オンライン診療のさらなる推進などに取り組むよう提言した。

「withコロナ」期には、医療の質を確保しつつ、医療従事者、患者双方の安心・安全を確保するため、政府に対し、機器導入への補助や診療報酬の見直しなど、初診を含むオンライン診療・服薬指導のさらなる普及促進策を打ち出すべきとした。

さらに、「postコロナ」期には、「かかりつけ医」がオンライン診療と対面診療のオプションを持ち、その時々の患者の状況に応じ医師と相談して診療の手段を選択できることが患者にとって望ましい姿と指摘し、▽初診を含むオンライン診療・服薬指導の恒久化▽オンライン診療範囲の見直し─を要望。初診を含むオンライン診療・服薬指導の恒久化は、医療機関のインセンティブとなるような診療報酬点数の引き上げのほか、受診から服薬指導や薬剤処方までをオンラインと郵送で完結するシステムの構築を求めた。

オンライン診療の範囲については、重篤化が懸念される一部の病気や症状を例外としたうえで原則オンライン診療を可能とし、病気の性質や患者との関係性を踏まえ、医師の判断でオンライン診療か対面診療かを決定できるようにする。

かかりつけ医や専門医が対面診療とオンライン診療を併用することで、患者は様々な場所から幅広い症状に対する医師の判断を仰ぐことが可能になり、患者中心の医療、患者が選択する医療へと変化することが実現すると強調している。

③は、個人と産学官医が一体となり医療・公衆衛生の向上に向けたデータを収集・連携・活用してヘルスケアのDXを進めるためには、環境・関係法制度の整備を進めることが重要であり、それによって新たなサービス、治療薬の開発が加速し、患者アクセスを改善できると主張。

そのうえで、次世代医療基盤法の改正・運用改善やレセプト等のリアルワールドデータの活用指針・基準の策定、政府データベースの整備などを進めることが重要と提言した。

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