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健保ニュース 2020年7月中旬号

協会けんぽ令和元年度決算見込
収支差5399億円 10年連続の黒字
準備金は過去最高の3.4兆円

全国健康保険協会(安藤伸樹理事長)は3日、協会けんぽの令和元年度決算見込を発表した。収入総額は10兆8697億円、支出総額は10兆3298億円で、収支差は5399億円の単年度黒字となり、準備金残高は過去最高の3兆3920億円に達した。

前年度から収入が5235億円増加したのに対し、支出がこれを上回る5785億円増加したため、収支差は550億円縮小したが、10年連続の黒字決算を計上した。これに伴い、準備金残高は保険給付費や拠出金といった義務的経費の4.3か月分相当まで拡大。準備金として積み立てなければならない水準(義務的経費の1か月分)の4.3倍となった。

協会けんぽは、財政の収支見通しを踏まえ、平成24年度から平均保険料率10%を維持し、安定した保険運営の観点から一定額の準備金を確保してきた。

今後は、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う保険料収入の減少や高額薬剤の保険収載、令和4年度以降見込まれる後期高齢者支援金の増加などを踏まえると、「協会けんぽの財政は引き続き楽観を許さない状況である」としている。

大規模健保組合の解散で被保険者数は4.4%増

収入は、保険料収入9兆5939億円、国庫補助等1兆2113億円など総額10兆8697億円だった。保険料収入は、被保険者数や賃金の増加に伴い、前年度に比べ4.9%伸びた。

被保険者数は、人材派遣健保組合や日生協健保組合の解散による影響で、協会けんぽによる医療保険の運営が始まった平成20年度以降で最も高い伸びとなる前年度比4.4%増の2464万人となった。一方、大規模健保組合の解散の影響を除くと同2.3%増で、被保険者数の伸びは29年度をピークに鈍化する傾向が続いている。

平均標準報酬月額は、同0.7%増の29万592円で、伸び率は、平成20年度以降で最も高い伸びとなった30年度の1.2%増から0.7%増へと鈍化したが、大規模健保組合の解散の影響(▲0.3%)を除くと1.0%増となる。

国庫補助等は、公費補助の対象となる保険給付費が増加したことを要因に同2.2%伸びた。

高額薬剤の影響 1人当たり給付費は増加

支出は、保険給付費6兆3668億円、拠出金等3兆6246億円など総額10兆3298億円だった。

加入者数は同2.7%増の4025万人、扶養率は0.027ポイント低下し0.633となった。加入者1人当たり保険給付費は同3.3%増の15万8136円で、このうち現金給付を除く医療給付費が同3.2%増の14万3295円。令和元年度は、10月の消費税率10%への引上げに伴う診療報酬改定(本体プラス0.41%、薬価等マイナス0.48%)が行われたが、前年度の1.8%増に比べ高い伸びとなった。

令和元年度の加入者1人当たり医療給付費が高い伸び率となっていることについて、協会けんぽの中島誠理事は、「抗悪性腫瘍剤のキイトルーダや関節リウマチ治療剤のヒュミラなどの高額な薬剤費の影響が背景にある」と説明した。

協会けんぽの保険財政は、医療費(1人当たり保険給付費)の伸びが賃金(1人当たり標準報酬)の伸びを上回る赤字構造に陥っている。支出の約6割を占める保険給付費は大規模健保組合の解散に伴う加入者数の増加も拍車をかけ、全体で同6.1%増と大きく伸びた。

拠出金等は、前期高齢者納付金が同0.1%減の1兆5246億円、後期高齢者支援金が同7.5%増の2兆999億円、退職者給付拠出金が同99.0%減の2億円で、全体で同3.6%増。高齢者医療費の伸びに伴う後期高齢者支援金の概算納付分の増加を背景に同1254億円増えた。

さらに、協会けんぽは、団塊の世代が後期高齢者となる令和4年度以降の後期高齢者支援金の推移について、4年度は2兆2100億円、5年度は2兆2900億円、6年度は2兆4000億円、7年度は2兆4900億円へと、元年度の2兆999億円から大幅に増加する見通しを示している。

こうした動向を踏まえ、中島理事は、「協会けんぽの財政は極めて厳しい状況を迎えることになる」との認識を示し、「今後も新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い景気が悪化していくなか、保険料収入の減少が大きな懸念のひとつとなる」と将来を見据えた。

そのうえで、加入者への健康増進や後発医薬品の使用促進、レセプト点検の充実などを通じ、財政基盤を強化するための医療費適正化に努めるほか、他の被用者保険と連携し、高齢者医療制度への拠出金も含む医療保険制度のあり方について意見を主張していくと強調した。

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