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健保ニュース 2020年7月中旬号

規制改革推進会議が答申
新システム工程明示 支払基金改革を促進
手数料の階層化など指摘

政府の規制改革推進会議(議長・小林喜光三菱ケミカルホールディングス取締役会長)は2日、規制改革に関する答申をまとめ、安倍晋三首相に提出した。医療関係では、「社会保険診療報酬支払基金に関する見直し」や「一般用医薬品(スイッチOTC)選択肢の拡大」などを提言した。政府の規制改革実施計画に反映する。

支払基金は、令和元年度末に「審査事務集約化計画工程表」を策定し、このなかで審査事務の集約化に向けて、他の都道府県での審査事務や審査委員と職員間で同時にレセプトを閲覧できる機能を備えた審査支払新システムを令和3年9月から稼働させ、その後2年以内にAI(人工知能)を活用したレセプトの振分機能によって、レセプト全体の9割程度をコンピュータチェックで完結させる方針を示している。

また、支払基金の組織改編については、都道府県支部を廃止し、全国14か所の審査事務センター(中核審査事務センター・6か所、審査事務センター・4か所、審査事務センター分室・4か所)に4年10月に集約する方針で、その10年後を目途に分室の廃止を検討するとしている。

これに対し答申は、審査支払新システムの稼働に向けて、▽コンピュータチェック9割完結を可能とする振分機能の設計・実運用化▽レセプト形式の見直し(摘要欄における選択方式の拡充)▽手数料の階層化▽保険医療機関等のシステムに取り込みやすい形式でのコンピュータチェックルールの公開▽保険医療機関等で事前にコンピュータチェックが行える仕組み─の具体的な進捗状況と対応・工程を示す必要性を指摘した。

AIを活用したレセプト振分機能は、フィードバック機能を組み込み、定期的に新たなレセプト審査結果を学習させるなど機能の詳細と学習メカニズムを明らかにするよう提言。

また、自動的なレポーティング機能は、事務点検、審査委員会の各プロセスで審査結果の差異を見える化し、差異が生じる要因を把握できる内容とする。

審査事務センターの集約に関しては、10か所の審査事務センターとは別に、概ね10年後の廃止が予定される4か所の審査事務センター分室について、「新システム稼働後の効果検証や機能強化、集約後の審査実績、ICT活用による審査委員会運営の見直しなどの業務効率化の状況を踏まえながら、その廃止を検討する」と具体的な対応を促した。

このほか、国保中央会も含めた審査支払機能のあり方について、6年予定の国保総合システムの更改に向けて、厚生労働省・支払基金・国保中央会が情報連携し、「審査基準の統一化、審査支払システムの総合的かつ効率的な運用を実現するための具体的工程を明らかにする」とした。

スイッチOTC推進 厚労省に体制構築

医療用医薬品から一般用医薬品へ転用するスイッチOTC化については、実績が低調であることを問題視。このため、推進体制を整備し、セルフメディケーションや医薬品産業の活性化を視点とする部局横断的な体制を厚労省に構築するとともに、スイッチOTCの促進目標を設定する。

一般用薬への転用促進に向けて平成28年4月に設置された「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は、メンバーの大多数を医師が占めるため、スイッチOTC化された場合のリスクに議論が偏りがちで、国民の利便性などの考慮に欠くとの認識を示した。さらに、実態として評価検討会議がOTC化の可否を決定しており、全会一致よる合意形成を原則とするなど運営上の問題点を指摘し、本来のセルフメディケーション促進の目的は果たせていないと断じた。

そのうえで、評価検討会議のあり方について、▽提案のあった成分のスイッチOTC化に向けた課題や論点を整理し、薬事・食品衛生審議会に意見を提示するのが役割。スイッチOTC化の可否を決定するものではないことを明確にする▽リスクだけでなく必要性につても討議できるよう、消費者代表を追加するなどメンバー構成を見直す▽スイッチOTC化が可能な疾患領域、患者(消費者)の状態や薬局・薬剤師の役割を検討、具体化する─などを提言した。厚労省内の部局横断的な推進体制の構築とともに、2年度中の措置を求めた。

「オンライン医療の普及促進」では、「患者目線に立ったオンライン診療の更なる拡充に向けて、次期診療報酬改定の動向を引き続きフォローしていく」との考えを示した。

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