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健保ニュース 2020年6月中旬号

社保審・介護給付費分科会
河本常務理事 サービス適正化や効率化を主張
地域包括ケアシステムの推進を議論

社会保障審議会・介護給付費分科会(分科会長・田中滋埼玉県立大学理事長)は1日、令和3年度の介護報酬改定に向け、地域包括ケアシステムの推進をテーマに議論した。

健保連の河本滋史常務理事は、今後の高齢者等の状況や多様なニーズに対応した介護の提供・整備等の視点をもとに、具体的な事例や取り組み、課題等を整理しながら介護報酬上の対応を検討していく必要性を指摘した。

また、地域包括ケアシステムの推進に当たっては、生産人口が減少するなか、支える側の減少とともに、負担が大きくなっていくことも考慮し、サービスの適正化や効率的・効果的な提供、質の確保等に取り組むべきと主張した。

3年度の介護報酬改定の主な論点については、同分科会の平成30年度介護報酬改定に関する審議報告における今後の課題や介護保険部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」、認知症施策推進大綱などを踏まえ、地域包括ケアシステムの推進のほか、▽制度の安定性・持続可能性の確保▽介護人材の確保・介護現場の革新▽自立支援・重度化防止の推進─の4つの事項があげられている。今後は、これらの論点を中心に、サービス種類ごとの課題とあわせて議論を進める。

地域包括ケアシステムは、団塊の世代が75歳以上となる2025年をメドに、重度の要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保できる体制を構築するもの。今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、同システムの構築が重要となってくる。

しかしながら、高齢化の進展状況には大きな地域差があり、地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性にもとづき、地域の特性に応じて作り上げていくことが課題となる。

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、今後の人口構造の変化を念頭に、「自立支援や重度化防止を推進しつつ、在宅での医療・介護サービスを中心に過不足ない、効率的な提供体制を確保していくことが求められる」と指摘し、介護サービスの整備を進めるに当たっては、「2025年や2040年以降の介護需要を見据えつつ、地域医療構想による医療提供体制の改革と一体的に議論が行われることが必要だ」と述べた。

江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、「施設サービスと在宅サービスは密接かつ不可分な関係にあり、相互を補完するものであることから、両サービスを適切に活用する視点が必要であるとともに、利用者のニーズを尊重したサービスを支える側で考え、確保するべき」との考えを示した。

また、この日の会合では、令和元年度に実施した「平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」の結果を了承した。

元年度調査では、▽サービスの質の評価▽介護ロボットの効果検証▽機能訓練の状況等▽福祉用具貸与価格の適正化─など7つの調査研究事業を行った。

介護ロボットの効果検証では、介護ロボットの活用内容の把握や次期改定に向けた課題等の整理を目的に、介護施設等における見守り機器やそれ以外の機器の導入状況等を調査した。

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