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健保ニュース 2020年5月下旬号

健保連と協会けんぽが連名でコメント
患者への適切な医療の確保が重要
高額医薬品の保険収載に見解

健保連は13日、同日の中医協で希少疾患・難病治療薬の「ゾルゲンスマ」の保険適用が承認されたことを受け、「高額医薬品の保険収載にあたり」と題するコメントを全国健康保険協会と連名で発出した。このなかで、「費用対効果を考慮しながら適正な価格での速やかな保険適用を通じて、患者への適切な医療を確保することが何よりも重要である」との見解を示した。

また、新薬を保険適用しながら国民皆保険制度を維持していくためには、既存医薬品にかかる公的医療保険の給付範囲について、「除外を含めて見直しを検討することが喫緊の課題」と強調するとともに、保険診療下で相対的に必要度が低下した市販品類似薬の除外・償還率変更に向けた検討を早急に着手する必要性を訴えた。した。

「高額医薬品の保険収載」にあたり
健康保険組合連合会
全国健康保険協会

本日の中央社会保険医療協議会において、希少疾患・難病治療薬である「ゾルゲンスマ」の保険適用が承認された。

この「ゾルゲンスマ」は、国内で価格が1億円を超えた初の超高額医薬品として注目を集めているが、1回の投与で高い効果が期待されているため患者にとっては保険適用を待ち望んでいた新薬であり、このような新薬については、費用対効果も考慮しながら適正な価格での速やかな保険適用を通じて、患者への適切な医療を確保することが何よりも重要である。

個人で負担しきれないリスクを確実にカバーしていくことは共助の仕組みである公的医療保険制度の責務である。現在、国難とも言うべき新型コロナウイルス感染症の治療に向けて、新薬の研究開発や既存治療薬の活用に向けた臨床試験が進んでいるが、国民の生命を守るためには、こうした医薬品についても有効性・安全性を確認した上で、速やかに公的医療保険でカバーすべきである。

国民皆保険制度の存在は、今回のような不測の事態においても医療を支え、国民の生命を守ってきた。しかし、2022年以降、人口減少・高齢化等により医療保険財政がより危機的な状況に直面し、さらに革新的で高額な新薬の保険適用が今後も見込まれている。

医療の質向上につながる新薬を保険適用しながら国民皆保険制度を維持していくためには、既存医薬品に係る公的医療保険の給付範囲について、除外も含めて改めて見直しを検討することが喫緊の課題であり、まずは関係審議会において諸外国の事例も参考にしながら、保険診療下で相対的に必要度が低下した市販品類似薬の除外・償還率変更に向けた検討を早急に着手すべきである。

薬剤自己負担の引き上げなどの医療保険制度改革については、骨太の方針2019や全世代型社会保障検討会議中間報告等を踏まえ、社会保障審議会医療保険部会において検討を行い、今夏に議論のとりまとめが行われる予定である。新型コロナウイルス感染症は未だ収束に至っておらず、その対応は最優先されるべきだが、「2022年危機」に向けて、医療資源の有効利用促進の観点から薬剤自己負担の引き上げを含めた保険給付範囲のあり方について、着実に議論を前進させるべきである。

「高額医薬品の保険収載」にあたり(コメント)(PDF)

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