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健保ニュース 2020年4月中旬号

支払基金が審査事務集約化計画工程表を公表
審査事務センターは全国14か所
令和4年10月に新体制移行

社会保険診療報酬支払基金(神田裕二理事長)は3月31日、「審査事務集約化計画工程表」を公表した。レセプト審査事務の効率化・高度化を進めるとともに、審査結果の不合理な差異の解消に向けた取り組みを充実させるため、支部完結型の業務実施体制から、本部を中心とした全国統一的な体制への転換を図る。集約拠点は全国14か所とし、中心的な役割を担う「中核審査事務センター」を、宮城、東京、愛知、大阪、広島、福岡の6か所に設置する。また、レセプト件数規模や地域性等を勘案し、北海道、埼玉、石川、香川の4か所に「審査事務センター」、岩手、群馬、鳥取、熊本の4か所には「審査事務センター分室」を置くこととした。集約時期は、令和3年9月の審査支払新システムの稼働状況等を確認したうえで、4年10月に新体制に移行する。

令和元年の通常国会で成立した改正支払基金法において、都道府県ごとに設置している支部を廃止し、支部長が担っている権限を本部に集約することや本部の事務執行機関として審査委員会事務局を設置するほか、審査委員会についてはこれまでと同様に47都道府県に設置し、審査委員の審査事務補助業務も各都道府県の審査委員会事務局で実施することとなった。

また、令和4年4月以降、職員によるレセプト審査事務の実施場所を全国10か所程度の審査事務センターに順次集約する方向性が示され、元年6月に閣議決定した「規制改革実施計画」では、元年度中に、審査事務センターへの集約計画について、その具体的な工程を明らかにし、公表することが求められていた。

今回支払基金が公表した「審査事務集約化計画工程表」は、これらの方針を受けたもので、▽集約拠点設置にかかる基本方針▽集約に向けた工程▽費用対効果の見込み─などを取りまとめた。

集約拠点設置にかかる基本方針では、審査事務センターおよび審査委員会事務局の基本的な役割を整理するとともに、集約拠点の所在地を明記した。

審査事務センターは、ブロックまたは地域内のレセプト審査事務を集約するとともに、審査結果の不合理な差異の解消について調整する業務を実施する。具体的には、▽審査委員会事務局の統括▽審査結果の不合理な差異の解消に向けた本部との調整▽再審査を含めたオンライン・電子媒体レセプトの処置▽ブロック別審査委員長会議・事務局長会議の運営─などを行う。

審査委員会事務局は、各都道府県に残る審査委員会の審査補助を中心に、再審査を含めた紙レセプトの処理や適正なレセプト提出に向けた取り組みのほか、出産育児一時金や特定健診関係の業務を行う。現在、各支部で業務運営を協議する幹事会は、「協議会(仮称)」に変更し、これに関する業務も審査委員会事務局が担当する。

審査事務センターの設置場所は、当初全国10か所程度に集約することを想定していたが、今回の計画工程表では、「中核審査事務センター」6か所、「審査事務センター」4か所、「審査事務センター分室」4か所の計14か所とする方針を示した。

中核審査事務センターは、ブロック内で審査結果の不合理な差異解消に中心的な役割を果たす中核支部がある都道府県に設置するとの考えから、宮城県仙台市、東京都23区内、愛知県名古屋市、大阪府大阪市、広島県広島市、福岡県福岡市の6か所に設置する。中核審査事務センターでは、診療科別の組織を構成し、専門的な審査事務の実施とあわせ、審査委員で構成する「差異解消のための診療科別ワーキンググループ」を設置する。

審査事務センターは、中核審査事務センターと連携し、審査結果の不合理な差異解消のために一時的な集約の役割を担う地域に継続的に設置する。具体的には、①集約後の中核審査事務センターの規模が過大になることを勘案し、地域を分割して効率的な事業運営を行うために設置する②一定の規模が見込まれ、かつ、地域的な独立性が高く、中核審査事務センターへの通勤が困難であることから、審査結果の一時的な集約をした方が効率的な地域に設置する─との方針のもと、埼玉県さいたま市(①に該当)、北海道札幌市(②に該当)、石川県金沢市(同)、香川県高松市(同)の4か所に設置する。

審査事務センター分室は、今後実施する職員の意向調査等によるニーズやICT化、業務の効率化を踏まえつつ、審査事務センターと審査事務局での定期的な人事ローテーションが定着するまでの経過措置として設置するもので、審査事務の平準化に資するよう、設置都道府県を含め少なくとも複数の都道府県の審査事務を担うことができることを考慮し、岩手県盛岡市、群馬県高崎市、鳥取県米子市、熊本県熊本市の4か所とした。センター分室は、概ね10年をメドに人事ローテーションの定着をみながら廃止を検討する。

集約に向けた工程については、審査支払新システムの構築や業務棚卸し等による効率化の推進に関連する事項を盛り込んだ。3年9月から審査支払新システムを導入し、クラウドコンピューティングによるセンターサーバーの一元化とともに、審査事務の集約や業務変化に柔軟な対応が可能なシステムを構築する。また、AIによる振り分け機能を実装し、新システムの稼働後2年以内にはレセプト全体の9割程度をコンピュータチェックで完結することをめざす。

業務棚卸し等による効率化の推進では、4年10月までに、審査支払新システムに対応した業務処理標準マニュアルの策定による業務処理の標準化を行う。また、業務改善プロジェクトチームによる徹底的な既存業務の棚卸しを行い、無駄な業務の廃止や周辺業務の外部委託の推進とともに、可能な業務は本部・センターに集約する方針を示した。

集約時期は、2年4月以降、職員に対し意向調査と面談を実施し、審査支払新システムの安定稼働を確認したうえで、4年10月に一斉に集約し、新体制に移行する。

人員体制をスリム化 800人削減で▲63億円

支払基金は、今回の計画工程表のなかで、業務の効率化による人員体制のスリム化や審査支払新システムにおけるクラウド化に伴う費用対効果の見込みを示した。

支払基金の人員体制のスリム化については、平成29年度の定員4310人から段階的に人員を削減し、令和6年度末段階で約20%、800人程度減の約3500人程度とすることが決まっている。平成29年度から令和元年度までの3年間で累計約200人の定員を削減しており、今後5年間でさらに600人程度を削減する。800人の定員を削減することにより、給与諸費は、29年度の374億円から6年度は311億円となり、63億円の削減を見込んだ。

また、新システムの導入により、システム維持管理経費は約6億円、IT化推進経費積立預金は約16億円が削減され、あわせて約22億円が単年度ベースで削減される。

支払基金では、人員体制のスリム化と新システムの導入の改革により、改革前と改革後の費用を比較すると約85億円の削減効果があると見込んだ。

集約拠点の所在地と各ブロック別のグループ内訳

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