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健保ニュース 2020年4月上旬号

社保審・医療部会が外来機能を議論
河本常務理事
資源重点活用に理解示す
医療関係者は批判的意見相次ぐ

社会保障審議会・医療部会(部会長・永井良三自治医科大学学長)は3月23日、外来機能の明確化やかかりつけ医機能の強化等について議論した。医療資源を重点的に活用する外来のあり方が大きな論点となり、健保連の河本滋史常務理事は、「医療資源の有効活用や外来機能の分化、連携を進めていくうえで、一定の合理性がある」と理解を示したが、複数の医療関係の委員からは批判的な意見が相次いだ。

厚生労働省は、この日の会合に、「医療計画の見直し等に関する検討会」における検討状況を報告した。このなかで、医療資源を重点的に活用する外来として、▽入院前後の外来▽高額等の医療機器・設備を必要とする外来▽特定の領域に特化した知見を有する医師・医療人材を必要とする外来─の3つの類型を設定することや、外来機能を報告する仕組み等を説明するとともに、検討会での主な意見を紹介した。

これに対し、河本常務理事は、「医療資源を重点的に活用する外来以外の外来はどのような機能になっているのか、きちんと検証する必要がある」と述べるとともに、「医療資源を重点的に活用する外来といっても、国民や患者にとっては具体的なイメージがわかないのではないか。国民への周知方法や新たな報告制度、それ以外の仕掛けなどの検討を進めていかないと、実際の外来機能の分化にはつながっていかない」との考えを示した。

また、かかりつけ医機能の強化については、「外来機能の分化を進めるための重要な環境整備である。私どもは、従来から診療科横断的な診療を継続的・一元的に担っていくニーズが高いと考えている。それにどうやって近づけていくかも含めて機能を整理し、議論していくべき」と述べた。

一方、医療資源を重点的に活用する外来について、批判的な意見や課題を指摘する医療関係の委員からの発言が目立った。

楠岡英雄委員(国立病院機構理事長)は、「入院医療についてはDPCデータでカバーされているが、外来はグロス(総量)のデータだけでは議論できない。医療機関ごとに診ている患者の内容や提供している医療も違う。しかも地域ごとにかなり偏在があり、グロスで議論すると必要な医療を見逃したり、間違った結論を出してしまう可能性がある」と述べた。

今村聡委員(日本医師会副会長)は、「現在の外来医療計画で、診療所の医療機能情報を可視化することが盛り込まれているが、これは、今回言われている外来機能の明確化ではない。診療所から報告するという意見もあるが、外来の話は幅広く難しい話が多い。丁寧な議論をしていく必要がある」との考えを示した。

猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は、「問題は本来かかりつけ医が診ることが適当である疾患の患者を大病院が大勢診ている事実があるということだ。この状況を見直すことによって、自ずと本来のかかりつけ医に患者が受診するということになるのではないか。この機能を構築することによって、この問題は解決していく」との認識を示した。

また、この日の会合では、政府の全世代型社会保障検討会議・中間報告に盛り込まれた、紹介状のない患者が大病院を外来受診した場合に定額負担を求める制度を見直す方向性について複数の委員から異論が出された。

相澤孝夫委員(日本病院会会長)は、「中間報告には地域密着型の中小病院とあるが、どこにそういう定義があるのか。病院と診療所、特定機能病院、地域医療支援病院も明確に定義されているが、中間報告には明確でないことがいっぱい書かれている。私たちは国民の医療を守り、きちんとした医療を提供していきたい。それをやろうとしているのに、どこにも定義されていない言葉をどんどん引っ張ってきて、あたかも素晴らしい文章であるかのように書いている。こんなことで医療行政を進めていいのか。われわれが声をあげてこれはおかしい、もう一度検討してほしいとなぜ言えないのか」と強烈に批判した。

山口育子委員(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)も、「中間報告があって、この議論をしているが、みんなが必要性を感じて議論しているのか。中間報告で(定額負担の見直し)を病床数200床以上の一般病院に拡大すると断言しているが、これは非常に危険なことだと考えている。医療部会から中間報告に対し異論が出ているということを明確に発信する必要があると思っている」と述べた。

これに対し、厚労省の迫井正深大臣官房審議官(医政、医薬品等産業振興、精神保健医療、災害対策担当)は、「検討の前提、あるいは議論いただく項目については、定義がはっきりしていない、何を議論しようとしているかわからないという指摘は真摯に受け止めたい」と述べる一方、外来診療については、「救急医療をみても働き方改革につながる前提はいろんな病院の機能がありながらも、そこがうまくかみ合っていないがゆえに、特定の病院、特定のドクターに集中して疲弊をしているという現象面については、診療側の皆さんにも分かっていただける部分があると思う」と述べ、「必ずしも結論ありきではなく、外来診療のあり方についてはもう少し改善していける余地があるのではないかという点について、それぞれの立場から議論いただけないかというのがわれわれの投げかけである」と応答し、外来機能の明確化等に関する議論の必要性に理解を求めた。

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