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健保ニュース 2020年4月上旬号

幸野理事が2年度診療報酬改定を総括 その(3)
働き方改革など効果を検証
適正受診へ健保組合の役割に期待

令和2年度診療報酬改定に関する健保連の幸野庄司理事へのインタビュー第3回は、今後の診療報酬をめぐる課題と、健保組合へのメッセージを聞いた。今回改定で医師などの働き方改革を支援した効果などを検証するとともに、入院・外来それぞれについて、医療機能の分化・連携と強化をさらに推進する必要性を指摘した。医薬品処方の適正化に向けた議論を早急に開始するべきとの考えも示した。薬価に関しては、来年度に初めて行われる中間年改定で、国民負担を軽減する観点から、市場実勢価格を高精度に反映させることを重視した。健保組合に対しては、保険財政が深刻さを増すなかで、適正な受診行動や改定内容を積極的に加入者へ普及啓発することに期待した。

入院は点数区分を整理 外来は「真」に機能強化

――次期診療報酬改定に向けた課題は。

医療従事者の働き方改革が引き続き大きな論点になるだろう。今回の改定で投入した財源がどのように活用され、病院勤務医の負担軽減や処遇改善に関する計画がどう進捗し、どのようなアウトカムが現れているかについて、しっかり検証しなければならない。

入院医療に関しては、急性期、回復期、慢性期のそれぞれについて、今回改定の影響を検証し、病床機能の分化・連携、強化に向け、さらなる見直しが必要だろう。とくに急性期一般入院基本料と回復期リハビリテーション病棟入院料は点数区分が多いため、統合・再編が求められる。療養病棟入院基本料は点数区分を一本化し、介護医療院への速やかな転換を図るべきだ。

外来医療については、真の意味での「かかりつけ医機能の強化」に向けた診療報酬上の対応を検討する必要がある。紹介状なし大病院受診時の定額負担についても、当然、議論になると思われる。

医薬品の適正処方を促進する観点からは、生活習慣病領域における経済性を含めた処方のあり方、保険給付範囲の見直しについて、中央社会保険医療協議会をはじめとする審議会で、今できることを早急に議論すべきである。

薬価フルセット毎年改定 「中間年」の概念を払拭

――薬価制度の抜本改革にもとづき、平成30年度から巨額品目の四半期再算定が実施され、さらに令和3年度からは、市場実勢価格との乖離が大きい品目について、2年ごとの全面改定の中間年に薬価を引き下げる運用が始まる。

四半期再算定と中間年改定のどちらも、医療保険財政の厳しい状況を踏まえて薬価を柔軟に見直すためのものだ。四半期再算定は、高額薬の販売額が効能追加などによって想定以上に拡大した場合に対応することが目的で、すでに数製品に適用した。一方、中間年の改定は、市場実勢価格を適時に薬価へ反映させる狙いがある。これまでも消費税の導入や増税に連動した中間年の臨時改定はあったが、今後は制度的に薬価を毎年調査し、改定することになる。

中間年の調査対象や改定ルールの適用範囲については、これから詳細を設計することになるが、国民の負担を軽減する観点から検討を進める必要がある。

その試金石となった元年10月の消費税率引き上げに伴う臨時改定では、一定条件を満たす新薬を優遇する「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」について、特許期間中の加算だけを実施し、後発医薬品の収載や特許切れによる累積加算控除は実施しなかった。こうした取り扱いには矛盾を感じる。「本改定」「中間年改定」という概念を払拭し、薬価は「毎年改定」とするべき。

市場実勢価格の反映方法にも課題がある。薬価の算定式には、市場実勢価格との乖離を許容する「調整幅」が設定されており、平成元年度の導入当初に15%だったのを徐々に縮小してきたが、12年度に2%にして以降、長らく据え置かれている。

この調整幅は、薬剤流通安定のために最小限必要な調整比率と理解しているが、この約20年間に医薬品卸売業界や流通事情は変化している。消費増税改定のための平成30年薬価調査では、改定直後の半年間で市場実勢価格が大幅に下落することも明らかになった。さらに、昨年末には医薬品卸大手4社の談合疑惑が浮上し、医薬品の流通に対する不信感を国民に芽生えさせた。

こうした状況で、今回改定から1年後となる令和3年度の薬価改定についても、薬剤流通安定のためという名目で薬価の引き下げを一律に2%緩和することに国民の理解を得られるのかは疑問がある。薬価をより市場実勢価格に近づける観点から、調整幅の水準やあり方について、根本的なところから検討すべきではないか。

加入者の代理人として健保組合が知識を高める

――最後に、保険者として加入者と直接向き合う健保組合へメッセージを。

高齢化の進展や高額医薬品の保険収載などに伴い国民医療費は年々増加し続け、直近では約43兆円に達している。保険料も大幅に上昇し、健保組合の財政運営に大きな影響を与えていることは、健保組合の皆さんが一番実感していると思う。

健保組合は、医療機関を受診する加入者の代理人として、加入者に適切な医療が提供されているかどうかを検証し、情報提供する必要がある。そのためには健保組合が医療費に対する関心や知識を高め、医療の内容を理解することが求められる。

例えば今回改定では、かかりつけ医機能を担う医療機関が算定可能な「機能強化加算」の情報提供に関する要件が見直され、地域でかかりつけ医機能を担う医療機関であることを書面に記載し、医療機関内の見やすい場所に置くこととなったが、こういった見直しの内容を加入者に周知してもらいたい。

さらに、「どういった医療機関がかかりつけ医機能を有する医療機関なのか」「どういった病状の場合にかかりつけ医機能を有する医療機関を受診するのか」「どういった医療機関を受診した場合に初診料へ800円が上乗せされるのか」といった知識についても、加入者へ積極的に普及啓発することをお願いしたい。

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