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健保ニュース 2020年3月下旬号

健保連が公明党健保議員懇話会に出席
佐野副会長 現役世代の負担上昇に抑制を
後期2割対象は高額療養費・一般

健保連は12日、公明党の健康保険組合議員懇話会(会長・桝屋敬悟政調会長代理、衆院)に出席し、全世代型社会保障改革の実現に向けた健保連の考え方を説明した。このなかで佐野雅宏副会長は、現役世代の負担上昇の抑制に繋がる見直しの必要性を強く訴えた。

この日の会合には、同懇話会の桝屋会長、秋野公造幹事長(参院)、大口善徳政調会長代理(衆院)、高木美智代政調会長代理(厚生労働部会長、衆院)など、衆参合わせ10数名の国会議員が参加した。健保連からは、佐野副会長、河本滋史常務理事、田河慶太理事、東京都総合健康保険組合協議会の森田章会長らが出席した。

健保連は、全世代型社会保障改革について、全世代型社会保障検討会議・中間報告や「骨太方針2019」、「改革工程表2019」を踏まえ、▽後期高齢者の窓口負担の見直し▽現役並み所得者の判断基準の見直し▽大病院の外来受診時定額負担の対象拡大▽保険給付範囲等の見直し─などの事項について主張を展開した。

後期高齢者の窓口負担の見直しについては、「低所得者に配慮しつつ、原則2割負担とするべき」と主張し、2割負担の範囲は、「一定所得以上の方を2割とする場合、少なくとも高額療養費の一般区分に該当する方をすべて2割とするべき」との考えを示した。

高額療養費制度における所得区分をみると、窓口負担が3割となる現役並み所得者は、後期高齢者全体の6.8%にあたる約115万人が該当。一般区分の約900万人(同52.9%)と、住民税非課税の約685万人(同40.2%)の計1585万人は1割負担となっている。

健保連の財政影響試算によると、2022年度以降、現役世代の負担は毎年3000~4000億円の大幅な増加が見込まれる。これに対し、一般所得区分に2割負担を導入し、医療費抑制効果を見込んだ場合、後期高齢者支援金は3600億円の減少を生じるが、その後も後期高齢者医療費の着実な増加が予想されるため、限定的な効果にとどまる。

さらに、医療費抑制効果を見込まない場合では、後期支援金の減少幅は2000億円にとどまる。また、介護保険と同様に後期高齢者全体の所得上位20%を2割負担とした場合は、医療費抑制効果を見込んでも後期支援金は900億円減となり、現役世代の負担軽減効果はさらに小さくなる。

こうした状況を勘案し、後期高齢者の自己負担を考えるに当たっては、①団塊世代の高齢化による負担増を全世代でどう負担するのか②高齢者の自己負担の変化だけでなく、高齢者医療を支える現役世代の保険料負担もトータルで考慮するべき③高額療養費についても考えることが必要④後期高齢者の公平な負担能力の観点から、課税所得だけでなく、非課税年金や金融資産をどう考えるか─などの視点をもとに、総合的に判断する必要があるとの考えを示した。

現役並み所得者の判断基準の見直しについては、「対象範囲の拡大には賛成」とする一方、▽現役世代の負担増を回避するために、現役並み所得者の給付費にも公費を投入する▽現役並み所得者の基準を見直す場合には、公費負担の減少分が現役世代の負担増とならないようする▽少なくとも後期支援金を負担する現役世代に対する財政支援を実施する─などの措置を講じるべきと主張した。

大病院の外来受診時定額負担の対象拡大や負担額を増額し、その増額分を公的医療保険制度の負担軽減に充てることは賛成であり、対象範囲を狭めることなく確実に実施するべきと述べた。

その後の意見交換では、出席議員から、後期高齢者の2割負担のあり方や対象範囲の設定とともに、負担水準のあり方、負担能力の評価などが課題として挙げられた。

桝屋会長は、後期高齢者の窓口負担の見直しについて、すでに後期高齢者でも3割負担となっている方がいるなど医療保険制度の現状を高齢者の方がたに丁寧に説明するとともに、2割負担の対象範囲については、高齢者の疾病状況や生活実態、高額療養費制度の効果などを踏まえ、検討する必要があるとの考えを示した。

これに対し、佐野副会長は、「高齢者の医療費の半分は現役世代の負担であることを知らない人もいる。この点も含め、国民に理解いただくことが重要だ」と同調した。

また、2割負担の設定については、「多面的な分析が必要であり、実際にかかっている医療費と保険料負担、給付と負担のバランスをみて議論する必要がある」と述べた。

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