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健保ニュース 2020年3月上旬号

幸野理事が柔整団体による医科併給文書に抗議
柔整師会 「時期尚早だった。訂正を検討」

健保連の幸野庄司理事は2月28日に開かれた社会保障審議会医療保険部会の専門委員会で、日本柔道整復師会と全国柔道整復師連合会の会長連名により昨年12月10日付で健保連の都道府県連合会長や健保組合に送付した「療養の給付と柔道整復療養費の併給調整について」と題する文書に関し、施術者側に撤回を要求した。三橋裕之委員(日本柔道整復師会理事)は、文書の送付が「時期尚早だった」とし、「訂正文を出すかどうか、持ち帰って検討を進めたい」と回答した。

この文書は、健保組合の判断に対して「保険医療機関へ通院中である場合や薬剤の処方期間中などの場合、療養の給付と柔道整復療養費が併給できないものと誤認し、同じ負傷について診療報酬請求がある場合に柔道整復療養費を不支給処分とする事例が生じている」とし、「釈迦に説法ながら、それは誤った事務処理」と断定する内容になっている。

幸野理事は「まさに怪文書以外の何ものでもない」と不快感を示し、療養の給付が困難な場合に療養の給付に代えて療養費を支給できる旨が健康保険法第87条で定められており、療養の支給が優先されることを指摘した。さらに、平成15年9月2日付の政府答弁書で「現に医師が治療を継続している疾患に対して柔道整復師等が施術を行ったとしても、療養費を支給することは認められていない」と明示されて、医科併給不可は解決済みの問題とし、「一方的な解釈をして保険者に通知し、混乱させたことは重大な問題であり、あってはならないこと」と抗議した。

三橋委員は、「保険者によって個別事例ではあるが、曖昧な判断で返戻や不支給をした事例がいくつかあり、施術者としての考え方を送らせてもらったが、時期尚早だった」と訂正を検討する考えを示し、今後は専門委員会の合意にもとづいて判断に迷う事例を精査するなかで、「健保連も交えて保険者と一緒に検討できれば」と弁明した。

これに対し幸野理事は、「検討する余地はない。併給できないことは周知の事実であり、この文書は間違っている」と追及し、重ねて撤回を求めた。

厚生労働省の樋口俊宏保険医療企画調査室長は、文書の発出に関する厚労省への事前相談がなかったことを明らかにし、健保法第87条の規定や政府答弁書で示した取り扱いについては、「現在も変わっていない」とした。そのうえで、「実際は様々なケースがあり得る。治療が継続しているかどうかなど、具体的な事案・事例に応じて法律や通知の趣旨、内容を踏まえて合理的な判断が行われるべき」との見解を示した。

さらに、「療養費の仕組みは関係者の合意にもとづくもの。それを前提に三者契約というかたちで今まで長らく続けてこれた。こういった文書の出され方は行政として遺憾と言わざるを得ない。今後、こういうことは良く考え、関係者とも共有して進めるようにしてもらいたい」と述べた。

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