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健保ニュース

健保ニュース 2020年1月下旬号

中医協が令和2年度改定へ議論を整理
かかりつけ「機能強化加算」要件見直し
経済性踏まえた薬剤選択は見送り

中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長)は15日、社会保障審議会医療保険部会と医療部会が決定した基本方針にもとづき、令和2年度診療報酬改定の方向性を示した「これまでの議論の整理」をまとめた。支払側の意見を踏まえ、かかりつけ医機能を評価する機能強化加算の要件見直しが明記された一方、経済性を考慮した使用ガイド付きの医薬品集の作成や、生活習慣病管理料で薬剤費の説明を要件化することは見送られた。健保連の幸野庄司理事は、これらの対応が見送られたことに対し、「極めて残念」と述べ、医薬品集について、「費用対効果が非常に高い取り組みで、団塊世代が後期高齢者入りはじめる2022年に向けて最後のチャンスと思っていた」と強調した。次回改定で実現できるよう必要な準備を進めていくよう求めた。

改定の基本方針で重点課題に位置づけられた医療従事者の働き方改革の推進では、とくに過酷な勤務環境となっている救急医療機関を対象に新たな評価を設ける。救急医療体制の充実を図る観点から救急搬送実績を踏まえて関連加算の要件を見直す方向性も示した。

柔軟な働き方に向けては、常勤配置や専従配置の要件を見直す。医師の負担を軽減する観点から、病棟薬剤師業務に着目した加算を評価するほか、常勤薬剤師の配置要件を改める。夜間の看護業務の負担軽減に向けて、医療機関の実情に応じて業務管理ができるよう夜間看護体制加算の要件を見直す。

医療従事者の勤務環境改善に関する取り組みが進むよう、総合入院体制加算の医療従事者の負担軽減・処遇改善に関する要件を見直すことをあげた。

業務の分担や移行を推進する観点から、医師事務作業補助体制加算や看護補助者配置加算の要件も見直す。

歯科疾患管理料見直し
初診時引下げ長期評価

安心・安全で質の高い医療の実現では、かかりつけ機能の普及に向けた対応を強化する。かかりつけ医への受診を促すため、機能強化加算の院内掲示などの情報提供に関する要件を見直す。支払側は機能強化加算について、かかりつけ医機能を持つ医療機関であることや、患者が享受するメリットや初診料に上乗せされる費用などを文書で説明することを要件に加えるよう求めている。

かかりつけ薬局・薬剤師の普及に向けては、患者が同一薬局を繰り返し利用するよう対策を講じる。患者が6月以内にお薬手帳を持って同じ薬局を利用した場合に初回より安くなる薬剤服用歴管理指導料について、再来局期間や対象薬局の要件を見直す。調剤基本料について異なる医療機関からの複数の処方せんをまとめて1つの薬局に提出した場合の評価見直しもあげた。

歯科に関しては、歯科疾患管理料について、初診時の評価を見直して長期的な管理に着目した評価を設ける。歯科の感染防止対策を推進する観点からは、常勤歯科医師だけでなく関係職員も研修の対象とし、基本診療料を見直す。

薬局業務を対物から対人へ
評価の重点化と適正化

薬局は、対物業務から対人業務への構造的な転換を推進する観点から、対物業務の評価である内服薬の調剤料と、対人業務を評価する薬学管理料を合わせて見直す。対人業務の推進に向けては、喘息患者などへの吸入薬の指導や新たに簡易懸濁法を開始する患者への支援、糖尿病患者への調剤後の服薬指導や副作用を確認した場合に評価することをあげた。

調剤報酬の適正化では、医薬品の備蓄の効率性や損益率の状況を踏まえ、特定の医療機関からの処方せんの受付割合が著しく高く、処方せんの受付回数が一定程度ある薬局について、調剤基本料の要件を見直す。また、特定の病院と不動産取引の関係がある敷地内薬局などを対象とする通常の調剤基本料より低い特別調剤基本料の要件や評価を見直す。

医療におけるICTの利活用の推進に向けて、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療を適切に推進するため、実施方法や対象疾患に関する要件を見直すほか、外来や在宅患者への情報通信機器を用いた遠隔服薬指導に対する評価も設ける。

ニコチン依存症管理料については、加熱式たばこの喫煙者も対象とし、対面診療と情報通信機器を用いた診療を組み合わせた診療を評価する。

治療と仕事の両立を推進する観点から療養・就労両立支援指導料について、患者の勤務状況にもとづき必要な医学管理が行われるよう評価対象を簡素化し、対象患者を広げる。

妊産婦の診療に関しては、産婦人科以外の診療科と産婦人科の主治医の連携を強化しつつ、妊産婦への診療体制の改善に取り組むとともに、昨年1月から凍結されている妊婦加算の扱いを見直す方向性を示した。

急性期の重篤患者割合
判定基準など要件見直し

医療機能の分化・強化と地域包括ケアシステムの推進では、急性期の入院医療の必要性に応じて適切に評価する観点から、一般病棟の重篤患者割合を判定する項目や基準などの要件を見直す。急性期一般入院基本料のうち、看護体制が患者7人に看護職員1人の最も手厚い入院料1の要件が焦点となる。

また、入院料1から入院料2や3への移行を進めるため、重篤患者割合に応じて柔軟な届出ができるよう、入院料2、3の届出に関する要件を見直す。

地域包括ケア病棟については、急性期治療を経過した患者や在宅療養の患者を受け入れる役割が偏りなく発揮されるよう、入院料と入院医療管理料について要件を見直す。

回復期リハビリテーション病棟入院料については、アウトカムを適切に反映させるために、患者の日常生活動作の改善に関する達成水準などの実績要件を見直す。

外来医療の機能分化に向けた対応では、紹介状なしで受診した患者から定額負担を徴収する病院や紹介率・逆紹介率の低い大病院に対する初診料減算について対象範囲を見直すことにより、外来の機能分化を進める。

効率化・適正化を通じた制度の持続可能性の向上に向けては、後発医薬品の使用を促進する観点から、関連する加算について、後発医薬品の使用割合や調剤割合が高い医療機関と薬局に重点を置いた評価とする一方、調剤割合が著しく低い薬局に対する減算要件を改める。

義肢装具に関する対応では、医療機関と装具製作業者の連携の実態を踏まえ、それぞれの役割に応じた適切な評価ができるよう要件を明確化する。

薬価制度と保険医療材料制度については、専門部会でまとめた改革の骨子にもとづき対応する。医療機器や検査で適応追加などにより市場が拡大する場合を想定し、市場が著しく拡大した場合に評価を見直す仕組みを設ける。

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