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健保ニュース 2020年1月中旬号

介護納付金算定に再度の誤り
河本常務理事 万全な対応を要請
追徴組合へ速やかに丁寧な説明を

厚生労働省と社会保険診療報酬支払基金は12月27日、社保審の介護保険部会で、平成30年度と令和元年度の介護納付金の算定に用いた諸係数の一部に誤りがあったことを報告した。これにより、被用者保険全体には6億1430万円が返還され、国民健康保険全体では4億4927万円が追加徴収される。健保組合全体(1373組合)では2億7473万円の返還となるが、このうち29組合は追徴対象となる。介護保険法にもとづき、令和2年度に過不足額が調整される予定だ。

健保連の河本滋史常務理事は、「今年度初めの算定誤りに続き、正直またかという気持ちであり、極めて残念である」と述べるとともに、「全体的には被用者保険は返還、国保は追徴となるケースが多いが、健保組合でも30弱の組合が追徴となる。追徴となる保険者に対して、速やかに丁寧な説明と対応をお願いしたい。介護納付金制度や厚労省・支払基金への信頼をこれ以上損なわないよう万全の対応をお願いしたい」と強く要請した。

今回の誤りは、昨年4月の介護納付金の係数誤りの再発防止策の一環として、支払基金において令和2年度の介護納付金の諸係数および基礎数値の精査を行うなかで、当該年度だけではなく、過去に遡って確認したところ、平成30年度と令和元年度の算定に用いた諸係数の一部に誤りがあったことが判明した。

この要因について厚労省は、平成28年の短時間労働者の適用拡大や29年度の総報酬割の導入が段階的に施行され、この制度改正に対応する過程で、厚労省と支払基金の役割分担に関する理解・共有が不十分だったため、システム運用や被保険者数の調整などでミスがあったと説明した。

医療保険者別の影響額は、協会けんぽが2億8995万円の返還、共済組合が4634万円の返還、市町村国保は4億2459万円の追徴などとなっている。

河本常務理事は、「これだけ続くと、この他にも誤りがあるのではないかと心配している。過去の検証状況はどうなっているのか」と厚労省側に質した。これに対し老健局の山口高志介護保険計画課長は、「支払基金が保有するデータをもとにすべて検証作業を行った。これ以上の誤りがないことを確認した」と回答した。

また、安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「協会けんぽでは、医療と介護を合わせた保険料率が30%を超えている支部もある。現役世代の負担が限界に達しているというなかで、このような誤りがあると、介護保険料を負担する被保険者の理解や納得を得られなくなる。今後は、このようなことがないよう対応していただきたい」とクギを刺した。

厚労省の大島一博老健局長は、今回の算定誤りについて陳謝するとともに、「再発防止策として、過去分を徹底精査するなかで判明した。今回の事案は、システムのプログラムミスや改正内容の確認の徹底が不十分だったことなどが原因であり、こうした事案を起こさないようにしていかなければならない」と述べた。そのうえで、今後は老健局と支払基金が一体となって新たな作業手順を策定するなど、再発防止策の強化に取り組む考えを示した。

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