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健保ニュース 2019年11月下旬号

厚労省が適用拡大の財政影響試算
健保組合 企業規模撤廃で好転
「50人超」では負担増大

厚生労働省は15日、自民党・社会保障制度調査会(鴨下一郎会長)の年金委員会(宮沢洋一委員長)と医療委員会(福岡資麿委員長)の合同会議で、被用者保険の適用拡大に伴う医療保険者別の財政影響試算を提示した。

短時間労働者への被用者保険適用拡大は、年金制度改革の主要論点のひとつ。低年金・無年金の解消に向けて厚生年金の加入者を増やすことを狙いとするが、同じ要件としている健康保険も被扶養者から本人へ移行するなど適用に変化が生じる。

厚労省はこの日、被用者保険の適用範囲のあり方について、現行の従業員501人以上とする企業規模要件を「最終的には撤廃すべきとの認識のもと、中小企業の負担にも考慮しつつ、より多くの短時間労働者をカバーできるよう段階的に対象を拡大することを検討」と、見直しに向けた基本認識を示した。

そのうえで、企業規模要件については、従業員「50人超」、「20人超」、「要件撤廃」の3ケースの影響を試算した。50人超に引き下げた場合、新たに65万人が厚生年金・健康保険の被用者保険に加入する見通しで、20人超では85万人、要件を撤廃すると125万人が加入する。

こうした前提で、50人超の場合で対象となる健保組合の財政影響は、トータルで30億円の負担増になると試算した。20人超になると対象組合の負担増減が相殺されて影響額は0億円、要件撤廃では70億円の負担減となる。

全体的な傾向としては、総合組合と想定される企業規模で、50人超から縮小するに従い、保険財政へのマイナス影響が緩和され、要件撤廃では新たに適用される加入者によりも他の保険者に移行する被扶養者の方が多く、これにより保険給付費等の負担が減って財政が好転すると考えられる。ただ、厚労省の試算は、対象となる健保組合のトータルの値を示したもので、パート労働者の多い飲食サービス業や小売業など適用拡大の影響が大きいとされる業態など個々の影響額は不明だ。

このほか、同様に被扶養者が抜ける共済組合、被用者保険に移行する国保も負担減となる。

一方、協会けんぽは、企業規模の縮小に応じて負担増が拡大し、従業員50人超で30億円、20人超で70億円、要件撤廃で140億円となる。新規加入の短時間労働者が協会けんぽに集中し、これによる保険料収入で保険給付費等の増加を賄えない傾向が示されている。

事業主負担への影響は、厚生年金・健康保険・介護保険の3制度の保険料を合わせて、50人超で1590億円増、20人超で2160億円増、要件撤廃で3160億円増と試算した。

厚労省は今回、企業規模要件を見直す方向で試算し、このほかの要件の労働時間(週20時間)、賃金(月8.8万円)、学生除外は現状維持とする考えを示した。勤務期間1年以上の要件は撤廃する方針。

適用拡大については、報酬比例部分を支給対象とする厚生年金と比べて、現物給付の内容や給付率が同じ医療保険でのメリットを疑問視する声もある。

この点について、厚労省は提示した資料のなかで、「被扶養者にも適用拡大を行うことで、傷病手当金や出産手当金といった被用者にふさわしい保障が享受できる」と現金給付の追加を指摘した。

また、働き方や雇用に中立で公平な医療保険制度として、「働きたい人の能力発揮や企業運営に必要な労働力確保が可能となる環境を構築する必要」をあげるなど、健康保険の適用拡大に前向きな姿勢を示した。

社会保障制度調査会は、年内に年金制度改革について一定の取りまとめを行う予定。
 宮沢委員長は合同会議の冒頭あいさつで、「なんとなく年金の後ろに医療が隠れており、(年金の)3号被保険者からすると医療の負担増は何の意味もないことをどうするかという問題が残っている」と述べた。福岡委員長は、被用者や事業主の負担感、保険者に与える影響を見極めた議論が求められるとした。

合同会議では、中小企業に与える影響から企業規模の大幅な縮小に慎重な意見と、積極的な立場から原則撤廃に向けて広く適用すべきとの意見に分かれた。

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