HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2019年9月中旬号

健保ニュース

健保ニュース 2019年9月中旬号

療養費の消費増税改定
厚労省案を保険者側が拒否
決定を座長一任、関係者と調整

厚生労働省は6日、10月の消費増税に合わせた療養費の改定案を社会保障審議会医療保険部会の専門委員会に示した。柔道整復とあん摩マッサージ指圧、はり・きゅうのいずれも、改定率を診療報酬の半分に相当する0.44%とし、基本的な料金を中心に配分する内容で、健保連の幸野庄司理事ら保険者側は、根拠が乏しいことなどを理由に厚労省の提案を受け入れなかった。遠藤久夫座長(国立社会保障・人口問題研究所所長)が「決定を座長一任とし、厚労省が関係者と調整する対応でどうか」と引き取った。幸野理事は「理屈づけて説明できるようにしてもらいたい」と注文した。

今回の改定は、消費税率の引き上げによる経費の増加を補てんすることが目的で、診療報酬の場合は医療経済実態調査などにもとづいて医療機関の課税経費率を割り出し、前回増税時の対応漏れも補正した。

厚労省は療養費について、確定申告の情報などから施術所の経費分析を試みたが、課税と非課税が振り分けにくいうえに客体数が少なく、課税経費率を適切に把握するこは困難と判断。前回増税時の対応を踏襲して改定率を診療報酬の半分に設定し、昨年10月分の算定実績を踏まえて各料金項目へ財源を配分した。

これに対し幸野理事は、「通常の政策改定と違って消費税の増税に伴うもので、計算根拠が必要」と指摘し、「課税経費率が曖昧」「前回の妥当性が検証できていない」などの問題点をあげ、「これで保険料に関わる重要な金額を決められるのか」と反発した。さらに、療養費のほとんどを占める国民健康保険と後期高齢者医療の代表が欠席するなか、「地域保険者がこの議論を聞いていないところで、われわれ被用者保険だけで決めて良いのか」とも述べた。

全国健康保険協会の髙橋直人理事は、初検料などが改定率を大幅に超えて値上がりすることに違和感を示し、「すべての項目を均等に0.44%上げるのが筋ではないか」と主張した。

直近の平成28年度実績にもとづくと、療養費ベースの改定影響額は、満年度で柔整が約15億円、あん摩マッサージ指圧が約3億円、はり・きゅうが約2億円とみられ、今年度はこの半額程度の増加になる。

当初案どおりの改定
厚労省10日発表

厚労省は10日、柔整療養費とあはき療養費の算定基準について、専門委員会の論議を踏まえて関係者と相談した結果、当初案どおりに改定することにしたと発表した。

改定の内容は次のとおり。10月1日に施行する。

【柔道整復】
▽初検料=1520円(60円増)▽整復料=2500~1万1700円(200円増)▽固定料=3800~9400円(200円増)▽再検料=410円(10円増)▽後療料(骨折)=820円(10円増)▽後療料(不全骨折、脱臼)=690円(10円増)▽金属副子加算=1000円(50円増)▽柔道整復運動後療料=320円(10円増)

【あん摩マッサージ指圧】
▽温罨法=110円(30円増)▽温罨法+電気光線器具=150円(40円増)▽変形徒手矯正術=790円(10円増)

【はり・きゅう】
▽初検料(1術)=1710円(100円増)▽初検料(2術)=1760円(100円増)▽施術料(2術)=1590円(10円増)

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年