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健保ニュース 2019年8月下旬号

地域・職域連携ガイドライン改訂案まとまる
効果的な協議会運営へ方策示す

厚生労働省の「これからの地域・職域連携推進の在り方に関する検討会」(座長・津下一代あいち健康の森健康科学総合センター長)は5日、地域・職域連携推進ガイドライン改訂案を座長一任で了承した。地域保健と職域保健の関係者が連携して具体的な事業の実施につなげるために、地域・職域連携の基本的理念を明確にし、地域・職域連携推進協議会の効果的な運営方策や、連携事業に必要な工夫の仕方などを盛り込んだ。厚労省は9月上旬をメドに都道府県や関係団体にガイドラインを周知する。

基本的理念では、地域保健と職域保健の連携を通じて健康教育や健康相談、健康情報などを共有し、効果的・効率的な保健事業を展開する必要性を指摘した。職域の取り組みに関しては、企業による健康経営や事業主と保険者のコラボヘルスにより、職域の保健事業が質・量とも向上していると指摘したうえで、女性や高齢の労働者がそれぞれの特性に応じて保健事業を受けられるよう周知することを課題にあげた。

さらに、地域と職域が連携するメリットについては、健康情報を共有・活用することで、地域全体の健康課題に応じた連携事業や保健サービスの選択肢が広がり、これまで支援が不十分だった被扶養者や退職者、産業医などの専門職が配置されていない小規模事業場への対応が可能になるとした。このほか、先進的な事例として、特定健診と市町村のがん検診を同時に実施して被扶養者の健診受診の利便性を高めた事例や、事業場の労働者に地域保健産業センターが提供する保健サービスを協会けんぽから事業場へ周知する取り組みなどを示した。

協議会の効果的な運営に向けては、都道府県と2次医療圏ごとに置いている協議会の連携のあり方を示した。都道府県協議会が決定した重点方針を2次医療圏協議会が策定する事業計画に反映したり、2次医療圏協議会の活動状況を把握して支援するため、それぞれの協議会担当者がオブザーバーで協議会に参加して検討内容を把握する。

協議会の構成機関に求められる役割も明記した。保険者に関しては、市町村がん検診と特定健診の共同実施のほか、データヘルス計画や健康に関する情報提供、健康宣言に取り組む事業場の紹介、協議会の情報を加入事業場へ周知する。

連携事業の具体的な実施にあたっては、PDCAの順番にこだわらずに着手しやすい段階から始めることや、住民や従業員を対象とした生活習慣に関する既存のアンケート結果を用いて現状分析するなど、実行性を重視した柔軟な考え方に整理した。連携事業のスケジュールを構成員間で共有するために、作業内容や担当者などを記載する作業工程表も例示した。健康課題の把握に向けては、データ収集や分析に莫大な時間や予算を費やさず、健康日本21の各指標や国の統計データ、データヘルス計画など、公開されているデータを活用する。このほか、地域、職域で保健分野を担当する医師、保健師、看護師、管理栄養士などの専門職や広報媒体などの資源を共有して最大限に活用する。

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