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健保ニュース 2019年8月合併号

厚労省研究班が報告書
緊急性などで応召義務を判断

厚生労働省の「医療等情報の連結推進に向けた被保険者番号活用の仕組みに関する検討会」(座長・森田朗津田塾大学総合政策学部教授)は7月31日、初会合を開いた。個人単位化される被保険者番号を医療等情報の連結に活用するための仕組みを検討する。今秋に一定の取りまとめを行い、これを踏まえ、関係審議会で法制面など制度的な対応も含めた具体的な議論に入る。

個人単位の被保険者番号をキーとする連結の対象は、厚労省が格納するNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)など目的に応じて異なる保健医療分野の各種データベースを想定している。令和3年度からの運用開始をめざす。

厚労省によれば、個人情報(保険者番号、記号番号、生年月日、性別、氏名)をもとにハッシュ値を生成したNDBの匿名化データは、同一人物の情報として完全に紐づけることが困難で、個人単位の被保険者番号を活用すれば、精度の高い情報連結が可能としている。

先の通常国会で成立した改正健保法等にもとづき、NDBと介護DBを連結解析できる仕組みが2年10月から施行されるが、当面はカナ氏名などを活用したハッシュ値の生成による連結で、3年度以降に個人単位の被保険者番号を活用したハッシュ値の整備を検討課題としている。

厚労省は、被保険者番号を活用する基本的なスキームについて、医療等情報の収集や連結を行う医療等データベースの活用主体が、自らが保有する被保険者番号のうち「どの被保険者番号が同一人物の番号であるのか」を照会し、被保険者番号の管理・運営主体が同一人物の番号を回答する仕組みと説明した。

具体化するための論点として厚労省は、被保険者番号活用の仕組みの管理・運営主体の担い手や活用主体の選定などをあげた。

管理・運営主体の担い手については、全医療保険者をまたいで被保険者番号に関する情報を提供する仕組みであることに鑑み、▽全国一元的な対応が可能▽公的性格を有する▽個人情報保護の措置が講じられている─などを条件とする方向を示した。検討会では管理・運営主体の基準のあり方を主に議論する。

また、管理・運営主体には作業量に応じたコストが発生するが、活用主体の受益に伴い発生する費用の負担方法も論点とした。

活用主体については、医療等データベースの保有主体のなかから、▽顕名、匿名のデータベースの特性に応じた被保険者番号の活用可能性▽被保険者番号活用の仕組みを活用する具体的なニーズがあるのか▽各主体が保有する医療等情報について、法令などにもとづき、利用目的や個人情報保護の措置が明確化されているか─などを視点に選定する。

このほか、改正健保法等で被保険者番号の個人単位化と合わせて、厚労省や保険者、医療機関などに対し、健康保険事業とこれに関連する事務を除き、番号の告知要求を制限する規定が設けられたが、告知要求制限との関係も具体化にあたって整理する。

検討会のメンバーは、保険者団体や医療関係団体の代表者、学識者などで構成され、健保連からは棟重卓三理事が参画する。

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