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健保ニュース 2019年7月上旬号

参院選公約
与党 人生100年の社会保障を構築

7月21日投開票の参院選に向けて、与野党の公約が出揃った。

自民党は、支える側と支えられる側のリバランスを通じて、年金をはじめ人生100年時代に相応しい社会保障制度の構築を重点政策のひとつに掲げた。公明党も人生100年時代に対応し、子育て支援も含めた全世代型社会保障への転換を進めると表明した。

自公両党ともに、人生100年時代の主要な社会保障政策として、年金制度を取り上げ、厚生年金の適用拡大や年金受給開始時期の選択肢拡大などに取り組む考えを示した。自民党は、厚生年金と合わせて、誰もが意欲や能力に応じて活躍できる人生100年時代のセーフティーネットを構築する観点から、健康保険も視野に「勤労者皆社会保険の実現(社会保険の適用拡大)」を進めるとしている。

自民党は社会保障政策に関連し、被扶養者が就業時間を調整する際の目安とする社会保険適用ルールの「130万円の壁」「106万円の壁」を見直すなど、就業促進を打ち出した。

予防・健康づくりでは、行動経済学の知見やインセンティブなどの視点を取り入れ、特定健診・保健指導実施率の向上や歯科健診機会の拡大、介護予防のための通いの場の拡大などを推進し、健康寿命を延伸する。

医療提供体制については、小児・周産期医療、救急医療などの確保、医師の働き方改革などを通じて、安心して受けられる医療を確保する。また、住み慣れた地域で切れ目のない医療・介護が受けられるよう、かかりつけ医・歯科医師・薬剤師機能の強化を含めて地域包括ケアシステムを強化する。

生活の安全に関連する公約では、マイナンバーカードの普及促進とともに、健康保険被保険者証としての利用などを着実に実現するとした。

党の政策を網羅した総合政策集2019「J-ファイル」では、全世代が公平に支え合う医療保険制度に向けた取り組みを進める方針を示し、医療保険制度の持続性を確保する観点から、後発医薬品やOTC医薬品の使用を拡大し、保険料負担をはじめ国民負担の増大を抑制するとした。

高額薬剤については、国民負担の適正化とイノベーションの促進の両立を図る。

また、介護費の増大に伴う医療保険者の介護納付金の負担増に対しては、必要な支援を行うと明記した。

高齢者医療制度については、平成29年の衆院選時に作成したJ-ファイルと同様に、現行制度を基本に高齢者医療費の負担のあり方を検討するとともに、拠出金の負担が過重にならないよう健保組合への財政支援などを通じて、国民皆保険制度を守るとした。

公明党は、最低賃金の引き上げや在職老齢年金制度の見直し、厚生年金の適用拡大、予定されている介護保険料の軽減拡充など社会保障の充実などを重点政策とした。

医療政策が多岐にわたるなか、「高齢者医療制度を含む健康保険の医療費適正化策を強化し、すべての世代が公平な負担で医療費を支え合う」ことを可能にするとの方針を示した。

傷病手当金については、治療期間が長いがん患者にとって使いやすい制度とするため、累積で1年半受給できる仕組みを構築する。

野党 消費増税に反対

立憲民主党は、公約「立憲ビジョン2019」で、老後の安心を高める観点から、世帯の所得に応じて医療・介護・保育などの自己負担合計額に上限を設ける総合合算制度の導入や、年金の最低保障機能の強化を強調した。

国民民主党は、社会保障政策について、▽児童手当の対象を18歳まで3歳延長し、一律月1.5万円を支給▽低所得の年金生活者に最低月5000円を給付─などを前面に打ち出した。総合合算制度の創設も政策集に盛り込んだ。

日本維新の会は、▽年金制度改革について、現行の賦課方式から積立方式に移行させる▽医療費の適正化・効率化は、レセプトチェックを一元化する─などを掲げた。

立憲民主党、国民民主党、日本維新の会のいずれも、今年10月に予定されている消費税率10%への引き上げに反対している。

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