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健保ニュース 2019年7月上旬号

平成30年社会医療診療行為別統計
報酬プラス改定で医科、歯科が増加
薬価引き下げ響き調剤は減少

厚生労働省は6月27日、平成30年社会医療診療行為別統計の結果を公表した。レセプト情報・特定健診等情報データベースに蓄積されている30年6月審査分の医科8573万件、歯科1800万件、調剤5420万件のレセプトを全数集計し、前年と比較したところ、医科の入院、入院外と歯科はいずれも、診療報酬本体のプラス改定を反映して、レセプト1件当たり点数と診療1日当たり点数が増加した。調剤は、薬価の引き下げや基本料部分の一部適正化により、レセプト1件当たり点数と処方せん受付1回当たり点数が減少した。

〔医科入院〕
短期滞在手術の制限で
DPCと放射線が拡大

医科の入院は、レセプト1件当たり診療日数が15.21日で、前年から0.09日減少し、1件当たり点数が同1085点増の5万3074点、1日当たり点数が同92点増の3490点となった。

診療行為別にみると、1件当たり点数、1日当たり点数ともに「診断群分類による包括評価等」の増加と「入院料等」の減少が目立った。これは診療報酬改定で、入院料等の一類型である短期滞在手術等基本料を制限し、診断群分類による包括評価(DPC/PDPS)を優先するようにした影響だ。短期滞在手術等基本料は日帰り、1泊2日、4泊5日を区切りとする1入院当たり定額の仕組みで、例えば2泊3日の入院であっても4泊5日分を算定できる。以前は1日当たり定額のDPC/PDPSとの選択制で、短期滞在手術等基本料のほうが割高になることがあり、1泊以上でDPC/PDPSの対象になり得る患者について、短期滞在手術等基本料の算定を禁止した。

短期滞在手術等基本料に包括されるガンマナイフなどが、DPC/PDPSだと出来高算定になることから、「放射線治療」の1件当たり点数、1日当たり点数が高い伸び率を示した。

このほかの診療行為では、「手術」「リハビリテーション」「麻酔」「医学管理等」「精神科専門療法」などの1件当たり点数と1日当たり点数が増加し、薬価引き下げが影響した「投薬」や「画像診断」「注射」などの1件当たり点数と1日当たり点数が減少した。「初・再診」と「処置」は1件当たり点数が微減、1日当たり点数が微増で推移した。

1日当たり点数の診療行為別構成割合は「入院料等」が35.0%で最も多く、「診断群分類による包括評価等」30.9%、「手術」17.8%、「リハビリテーション」5.6%、「麻酔」2.2%などと続いた。DPC/PDPSの患者に限った場合、1日当たり点数の構成割合は「診断群分類による包括評価等」の57.5%と「手術」の27.2%がとくに多いほか、診療報酬改定の影響で「放射線治療」が「投薬」を超えた。1件当たり日数はDPC/PDPSの患者が同0.63日減の9.96日、それ以外の患者が同0.95日増の19.87日となった。

〔医科入院外〕
注射、検査など増加
受診日数はヨコバイ

医科の入院外は、レセプト1件当たり診療日数が前年比0.02日減の1.55日、1件当たり点数が同17点増の1359点で、1日当たり点数が同22点増の875点となった。

診療行為別の1日当たり点数は、前年と比べて「注射」が大きく伸びたほか、「検査」「在宅医療」などが増加し、「投薬」「麻酔」が減少した。構成割合は「検査」18.2%、「投薬」15.4%、「初・再診」14.9%、「注射」10.5%、「処置」9.8%の順で多い。

〔歯科診療〕
投薬の微減を除き
1日当たり点数が増加

歯科は、レセプト1件当たり診療日数が前年比0.03日減の1.78日、1件当たり点数が同4点増の1249点となり、1日当たり点数が同15点増の700点だった。

診療行為別の1日当たり点数は、「投薬」がわずかに減少した以外はすべて前年を上回り、「処置」「医学管理等」「在宅医療」「歯冠修復及び欠損補綴」の増加が比較的大きかった。

1日当たり点数の構成割合は、「歯冠修復及び欠損補綴」が35.5%で最も高く、「処置」が20.0%、「初・再診」が12.6%、「医学管理等」が11.2%を占めた。

[薬局調剤〕
処方せん単価31点減
対人業務の報酬は増加

調剤は、レセプト1件当たり処方せん受付回数が前年から0.01回減の1.24回、1件当たり点数が同48点減の1061点で、受付1回当たり点数が同31点減の857点だった。

調剤行為別では、「薬剤料」と「調剤技術料」が1件当たり点数と受付1回当たり点数ともに低下した。とくに調剤点数の7割強を占める薬剤料が、薬価引き下げによって大幅に落ち込んだことで、全体の減少につながった。調剤技術料については、門前薬局などの基本料を適正化したほか、後発医薬品調剤体制加算の基準を厳しくしたことが、減少要因となった。

薬剤師の対人業務を評価する「薬学管理料」は1件当たり点数と受付1回当たり点数いずれも伸びた。

受付1回当たり点数の構成割合は、「薬剤料」が73.5%、「調剤技術料」が20.7%、「薬学管理料」が5.6%を占めた。




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