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健保ニュース 2019年4月上旬号

中医協が当面の検討項目を確認
患者の年代ごとに課題を横串
秋から個別テーマを議論

中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長)は3月27日、次期通常診療報酬改定に向けて春から夏に取り上げる検討項目を確認した。患者の視点を踏まえた乳幼児期から人生の最終段階まで年代別の課題や、昨今の医療と関連性の高いテーマについて横断的に議論する。委員からは、議論が拡散しないように重点を絞って進めるべきとの意見があがった。

健保連の幸野庄司理事は、年代別で課題を整理することに理解を示し、これまでと異なる切り口を厚生労働省が提示した背景を質問した。厚労省保険局の森光敬子医療課長は、前回改定で学童期における学校との連携や働く世代などの議論が不足していたと説明し、年代ごとの課題を抽出したうえで報酬項目にとらわれない形で医療を巡る諸課題を隙間なく議論していく考えを示した。

年代別の課題に関しては、周産期・乳幼児期で偶発合併症を有する妊婦やハイリスク妊婦の診療体制など、妊産婦加算に関連するテーマを取り上げる。青年期・壮年期・中年期といった20代から60代にかけては、治療の中断や脱落などが問題視される生活習慣病に対する継続的な管理などを課題にあげた。高齢期では、加齢とともにみられる認知症やフレイルへの対応を検討する。

昨今の医療と関連性の高いテーマについては、多角的な視点で課題を整理する。患者に身近な医療のあり方では、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師などの連携や前回改定で対象病院の範囲を見直した紹介状なしの受診時定額負担を議論する。政府が進める働き方改革の関係では、長時間労働の是正といった医師の働き方の見直しを踏まえた対応を取り上げる。今後の人口減少社会を見据えた医療提供体制のあり方や地域医療構想の達成に向けた対応策を地域づくり・街づくりといった側面から検討するほか、ICTやデータヘルスの利活用なども検討項目とした。

幸野理事は、検討項目の追加を求めた。薬局の機能分類などを盛り込んだ医薬品医療機器等法改正案が今国会で審議されることを踏まえ、かかりつけ薬局や薬剤師の機能に応じた評価や、現行の診療報酬体系が患者からみてわかりづらいといった観点から、報酬体系の簡素化・合理化を論点にあげた。社会保険診療報酬支払基金が進めるICTによる審査の効率化を踏まえたレセプト様式の見直しなども提案した。

秋からは外来医療や入院医療など個別テーマに分けて診療報酬における具体的な評価を検討していく予定だ。

厚労省はこの日、次期薬価改定に向けた検討スケジュールも示した。6月以降に薬価専門部会で課題を確認し、薬価算定組織や製薬業界などから意見を聴きつつ、秋から薬価制度改革に向けて議論を深めていく。

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