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健保ニュース 2019年4月上旬号

健保連が治療用装具の不正請求調査
判明事案 8年間で総額1億1700万円
厚労省に不正対策求める方針

健保連はこのほど、治療用装具療養費に関する不正請求事案の調査結果をまとめ、3月15日の理事会に報告した。それによると、愛知県の㈱松本義肢製作所が約8年にわたり、実際とは異なるものを、「靴型装具」として患者に販売し領収書を発行するなど、愛知県内の健保組合を中心に全国の保険者へ不正請求していた。不正は1642件で総額1億1700万円にのぼり、そのうち今回までに被害保険者が特定できた内容は、145保険者に対し1136件、約6300万円となった。健保連は今後、不正を防止すべく、治療用装具療養費申請時に必要な医師の証明書様式の改正など、制度改正を厚生労働省に強く働きかけていく方針だ。

今回不正請求が明るみになった㈱松本義肢製作所は、市販品のメーカー靴を一部加工したにすぎないものをオーダーメイドの靴型装具と偽っていただけではなく、制度上1回の申請につき1足分しか請求できないことから2足分渡していたものを1足分と装い領収書を発行し、保険対象額より大幅に多い額を受け取っていた。医師の証明書も事実と異なる不適正なものであった。

今回の事案は、健保連愛知連合会(会長・トヨタ自動車健保組合)が先駆的に取り組んできた申請時の写真添付による審査で発覚。平成29年3月から同業者を追及し確認したところ、平成19年から26年までの約8年間に同様の不適正と見られる請求が1642件、1億1604万9537円にのぼることが明らかとなった。これを受けて愛知連合会では、被害を受けた保険者を特定するための調査を実施。その結果、全国の145保険者に申請された1136件を特定でき、不正額は6363万6719円に達した。その後の厳しい対応により、昨年11月までに不正額は該当保険者に概ね返還された。

公的な医療保険制度では、医師が治療に必要と判断し、保険者が認めた場合に限り、ギプスやコルセット、義眼などの製作にかかる費用を治療用装具療養費として支給できる。支給にあたっては、患者が代金の全額を装具製作会社に支払い、加入する保険者に療養費支給の申請を行う仕組みとなっている。申請には装具の領収書とともに医師の証明書(医師は作製指示だけでなく完成した装具の装着確認も義務づけ)が必須だが、その書類だけでは保険者が詳細な審査や医師証明書の事実確認ができないことを逆手に取り、靴型装具をはじめ治療用装具の不正請求が相次いでいる。今回の事案を踏まえ、厚生労働省は昨年4月から、靴型装具について申請時に現物の写真添付を義務づける通知を出し、各保険者に審査の強化を求めている。

大塚会長
全国的に取組み強化

3月15日に開かれた健保連の理事会では、三宅泰介医療部長から今回の不正請求事案に関する調査結果について説明するとともに、今後、厚生労働省の検討専門委員会等を通じて、医師の証明書様式(要件)の見直し、治療材料と治療用装具の基準の明確化、既製品装具の適正価格の決定、不正が疑われる装具製作会社への指導監査の実施など、制度改革の実現に向けて強く働きかけていくとの方針を示した。

愛知連合会として不正請求の究明に取り組んだトヨタ自動車健保組合の高橋恭弘常務理事は、療養費は医療費全体のなかのシェアは小さいものの、不正の横行を許すことは医療保険財政の基盤を揺るがしかねないとして、健保組合による審査の取り組み強化の重要性を訴えた。

大塚陸毅会長は、愛知県の健保組合関係者に謝意を述べたうえで、「こうした不正は表に出ていないだけで全国に多々あるのではないか。医療費適正化へ積極的に取り組む健保組合の重要性や存在意義を示すことにもなるので、こうした活動を全国に展開することが重要である」と話し、さらなる取り組みを強化する姿勢を鮮明にした。

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