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健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.76

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

地図上の遠近の差

きょうだいがいる場合、老親との地図上の距離に違いがあることが一般的です。同居、近居、遠居……。距離だけが要因となるわけではないものの、遠近によって親との関わり方に違いが生じ、それがストレスになることもあります。

Rさんの自宅は実家からは車で45分の距離。一方、姉は車で2時間ほどのところに暮らしています。「親の通院介助、ケアマネジャーとの打ち合わせなど、結局、全て私が担っています。私だって、隣に暮らしているわけじゃないのに」とRさんは姉に対し、不満を口にします。

夫の母親と同居中だというSさんも、別居の義弟夫婦にうんざりしているとか。新幹線を使い片道4時間ほどのところに暮らしており、頻繁に来るのは難しいと理解しています。帰省は盆と正月だけ。「義母は食事制限があるんです。だというのに、義弟夫婦は、『たまにはね』とか言って、甘いお菓子をあげるんです。義母の部屋から、義母が私の悪口を言いながら食べている声がしてきましたよ」とSさんはため息まじりに話します。

同居や近居の子から遠居のきょうだいの批判を聞くことは少なくありません。「日常的」に顔を合わせておらず、「たまに」顔を合わせるだけだと、優しくできたり、甘えたりの関係になりがちですから……。日常的に介護をしている人からしたら、腹が立つのは当たり前でしょう。

確かに、地図上の距離が障壁となることがあるのは事実です。だからこそ、きょうだいとは役割分担を話し合い、相手を思いやることが不可欠だと思います。

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