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健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.17

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

仕事は続ける方向で

東京で暮らすDさん(40代・女性)の実家は九州です。父親がほぼ寝たきりの状態で、母親が介護をしていますが、疲れ果てている様子。Dさんは母親をサポートするために、仕事を辞めて実家に戻ることを検討しています。「兄は大阪で家族と暮らしています。私は独身で、兄よりは身軽ですから」とDさん。しかし、本当にDさんは身軽なのでしょうか。

独身者の場合、一輪車走行ですから、自分が仕事を辞めれば収入は途絶えることになります。Dさんは実家に戻って、どうやって生活していくのでしょう。当面は蓄えと親の年金で暮らしていけるかもしれません。しかし、長引けば蓄えは底をつきます。当然ながら、いつか親が亡くなればその年金もストップします。

Dさんの実家のある地域にどれだけ雇用があるかは分かりませんが、もしも再就職ができたとしても、今よりも条件は悪くなるでしょう。現在の正社員の仕事を手放すことで、将来のDさんの年金額にも影響が出ることになります。

こんなふうに、親の介護とお金を天秤にかけることには抵抗を感じるかもしれません。「親とお金とどちらが大事? 私って冷たい?」と自問自答しながら悩む人もいます。

とはいえ、現実から目を背けたままで退職に踏み切るのは危険です。懐が乏しくなると、精神的にも苦しくなります。両親の共倒れは防がなければなりませんが、自身の離職以外に策はないのか、今一度、しっかり考えたいものです。

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