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ほっとひと息、こころにビタミン vol.67

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

ピンチをチャンスに

ピンチはチャンスといわれます。しかし、そのようにいわれても、思うように物事が進まないと良い気持ちはしません。このまま良くない状態が続くのではないかと考えて、気持ちが沈みます。

こうしたときに良くない可能性を考えたり落ち込んだりするのは自然なこころの動きです。失敗したことを気にしないで前に進むと、傷口がさらに広がる可能性があります。ですから、ちょっとひと休みして、次に進んでいくエネルギーをためようとするのです。

そのようなときには、慌てないようにしてください。焦ると、せっかく持っている自分の力を生かすことができません。次に進む工夫ができる自分のこころの力を信じることです。ただそのとき、ちょっと立ち止まって、原因探しの罠に入っていないか確認してみてください。

うまくいかないことがあると、「なぜ、なぜ」と、その原因を探すようになります。もちろん、原因が分かって問題を解決できれば良いのですが、原因が分からないことが少なくありません。原因が分かっても、解決に結びつかないこともよくあります。その結果、「なぜ、なぜ」と考えて、ますますエネルギーが消耗されていきます。

原因探しをしても解決に向かう方法が見つからないときには、早めに手立て探しの考え方に切りかえるようにします。問題があることは分かっているのですから、その問題にどのように対処すればいいかを考えるようにするのです。

焦りは禁物です。自分の力を信じて、手立てを考えながら、少しずつそれを試していくうちに、状況はきっと良い方向に変わっていきます。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。

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